【コラム-ADHD③】就労移行支援施設の選び方と実際に通ってみて


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私は、前職を退職した直後に病院からの紹介で就労移行支援施設に通所しました。約半年間の通所を経て現在の職場に就職しました。コラムの3回目の今回は利用者の視点から見た就労移行支援施設の選び方と、実際に通ってみて体験したことや感じたことを書こうと思います。

目次

自分の病気や経歴にあった施設を選ぶ

①施設によっては訓練が基礎的すぎるという声も…

それまで就労経験のある人が就労移行支援施設のプログラムを受けた際に内容が基礎的すぎる、もしくは単調に感じることがあります。私自身も多くの時間をデータ入力とビーズの袋詰めに費やしました。データ入力はともかく、ビーズの袋詰めが就職の何の役に立つのかと疑問に思うこともなかったわけではありません。これは忍耐力を養う訓練だと自分の言い聞かせながら作業を続けました。

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)も「人への声のかけかた」等といった非常に基礎的なものでした。精神障害を抱えている方の病気の種類や経歴は様々です、就労経験が全く無い人もいれば、高度なスキルを持ちつつも病気によって退職を余儀なくされた方もいるかと思います。

就労経験が全く無い方の場合、ビースの袋詰のような簡単な作業も仕事のペース配分を覚えたり休息のタイミングを覚えるといったことに役立ちます。基礎的なSSTも対人スキルを身につける為に必要な訓練です。これらのことは将来働く上で絶対不可欠な基礎力づくりとして重要なのです。

一方で就労経験のある方にとっては訓練としては意味がないのではと感じることがあるかもしれません。私が施設に通っていた2012年頃、施設は今ほど多く無くあらゆる経歴、障がいを持った人が同じプログラムを受けるのが通常だったと思われます。

②現在は選択の幅が広がっている

就労移行支援施設の数が増えた今現在は各利用者のニーズに合わせた施設が多く現れています。発達障害の方を中心に受け入れている施設、就労経験者でリワーク志望の方を中心に受け入れている施設等様々です。

発達障害の特化型の施設の中には従来は必須とされたコミュニケーションスキル等の訓練を全く組み込まず、訓練の大半をプログラミングに充てる施設もあります。これから初めて就職しようとする方には、長く働く為の基礎力は必要があるため従来型の施設が適切であるかもしれません。

自分にあった仕事を探せる環境にあるか

長く同じ会社で働きたい気持ちが強ければ、単に企業に採用させることが目的ではなく時間をかけても、通所者さんが長く働ける会社を一緒に根気よく共に探してくれるスタッフがいる事業所を見つけることがベストです。

私が通所している間にこんなことがありました。大手のマンション管理会社から大量の求人募集が入ってきたのです。スタッフは就活段階の通所者に次から次に声をかけエントリーを勧めました。そのうちの多くの方が採用されました。私にもどうかと勧められましたが医師の意見書がまだ出せておらず応じられず悔しい思いをしました。給料も障害者雇用としては非常によかったのです。

しかし、個人と企業とのマッチングに関してあまり考慮されていなかった為、就職した方々の幾人かは就労を継続できず退職を余儀なくされました。就労したいという気持ちが溢れている状態にある時、仕事を紹介してもらうと気持ちが高ぶり、おもわず「はい、やります!」といってしまいがちです。

冷静になってその会社で自分は継続して働けるのか、自身の配慮要求が受け入れられる企業なのか、同じ障がいを持った人がいるならばどのようにして適応し会社に貢献できているのか等をスタッフと検討した上で応募することが大切です。そのような話し合いができる信頼関係を築けるスタッフがいるかどうかがその施設の良し悪しの一つの判断基準になると感じます。

どんなに名の知れた給料のいい職場に就職できても、継続して働けなければ全く意味がありません。また就労後の定着支援をしっかりサポートしてくれる事業所であるかも選ぶ上の重要なポイントになります。

利用料についてよく調べる

就労移行支援施設の利用料は前年度の所得額に応じて負担の上限があります。負担上限額は表のようになります。

区分 世帯の収入状況 月額負担上限額
生活保護 市区町村民税非課税世帯 0円
低所得 市区町村民税非課税世帯 0円
一般1 市区町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

私の場合、通所開始の時点で全く、収入がなかったので低所得で月額負担額は0円と判断していました。利用開始の契約の際、利用料がいくら発生するのか担当者としっかり話をしていなかったのです。

しかし実際はその時点での収入状況ではなく、前年度の所得によって利用料が決まるのです。利用が始まった当日に毎月9300円の利用料が発生することがわかりました。収入がない状況でこの出費はかなり痛い為、慌てて行政問い合わせたところ約4000円の補助金がでることがわかったので毎月の5千円の利用料を払うことで事態は収束しました。

・契約前に前年度の収入状況を確認して利用料が発生するのか確認する
・発生した場合は助成が受けられるか行政に問い合わせをする

ことが重要です。

まとめ

現在、日本には沢山の就労移行支援施設があります。利用者のニーズに合わせてそれぞれの訓練内容も多様化しています。施設の数も非常に増えている為、選び方よっては全く合わない施設に通所してしまうこともありえます。

就労移行施設に通う目的は単に仕事を見つけることではなく長く働き続け社会に貢献することを目指すことにあります。事業所の規模の大小や就労実績等の数字だけを判断基準にせず体験利用や見学会を通じて自分にとって長く働ける為の有効な訓練を行える施設を根気よく探してみてください。

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