【コラム-ADHD④】職場に適応するためには


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精神障がいを持つ方の職場定着率は、知的、身体の方と比較して低いとされています。

平成25年度の厚生労働省の調査によりますと1年後の職場定着率が身体の方が約75%、知的の方が80%に対し、精神、発達障がいの方の定着率はいずれも60%台となっています。体調の変化の波が大きい上、外部からは体調の悪化が見分けづらく適切な対応が困難なことが一因とみられています。

私は発達障害とうつの症状を持ちつつ現在の今の会社に就職して4年目に入りました。職場でのサポートを受けながら継続して働いています。第4回目のコラムは精神に障害を持つ方が職場に適応するには何が必要かを今回は自身の経験を振り返りつつまとめてみます。
 

目次

自分の病気を知って、医師の指示に従う

私の就労する会社で長期的に継続して仕事ができる人の多くは自身の病気を理解して、それに自身でできる対処と周囲に適切な配慮を求めるスキルを身に着けています。

しかし残念ながら継続できない方が必ずおられます。その方々に共通することは医師の指示を守らなかったり自己判断で処方された服薬を中止したことです。急激な断薬は離脱症状などの悪影響をおよぼします。そのような状態でなれば仕事を継続することはできません。必ず医師の指示に従いましょう。

自分の不調のサインを読み取る

継続して働くには、安定した体調を維持し続けなければなりません。自身が体調不良に陥った時どんな状態なのか把握できるようにすることが重要です。さらに必要なことは体調が不調になった時ではなく、悪化する前のサインを見つけることです。悪くなってからでは遅いのです。

例えば、自暴自棄になったり、攻撃的なることが自身の最も不調な時ならば、そこに至る前に疲労、イライラした状態になるかもしれません。それらの兆候(注意サイン)をなるべく多く把握できるようにします。

注意サインがでたら、その先まで症状を悪化させない為の対処が必要です。対処方法は人それぞれ無数にあります。注意サインが出たらいつもより早く睡眠をとるように、職場内でサインがでたら、一時的な休息を上司に申し出るなどの配慮を要求してもらうこと手段の一つです。職場内で自身の注意サインやそれに対する対処法を共有できれば理想的です。

配慮を要求できるようにする

私はADHD傾向があるので、どうしても細かい作業を集中して続けながら仕事することが苦手でした。なんとか人と並ぼうと努力しましたがミスはどうしても減りませんでした。

その為一年目は強いストレスを抱えつつ仕事を続けることが辛いと感じることもありました。その状態ではモチベーションを維持できず、長く仕事を続けることは困難です。その為、会社に自分の力が発揮で切る仕事に業務を変えてもらうよう配慮を頂きました。

アイデアを生み出したり0から創造することが得意でしたので、業務マニュアルの作成の仕事を任されることになったのです。得意なことには集中して仕事ができるので、スキルや自信を高められより会社に貢献できる実感が持てました。病気によってどの様に配慮をしてもらうかは人それぞれです。会社側にとっても、従業員が継続して力を発揮できるならば可能な限り配慮要求を受け入れてくれるはずです。

誰かの役に立てるようにする

私が就職して1年目や2年目は、他人より良い評価を得ることが仕事の目的でした。一向に結果がでないことにイライラすることもあり、評価されない自分に卑屈になることもありました。

世の中には自分の力ではどうにもならないことがあります。例えば上記の自分の評価は他人が決めることであって、どう頑張っても自己の意志ではコントロールできません。自分の意識ではどうにもならないことをコントロールできると人間は錯覚しがちです。

コントールできないことに関心ばかり向けていれば不満ばかりが出てくるようになってしまいます。そのような状態で長く働き続けることは難しいでしょう。

私は自身の評価よりも、誰かの役に立つことを仕事の目的へ考え方を変えました。そのために行動することは自分の意思でできることだからです。自分のできることにエネルギーを集中させる、私の仕事は業務のマニュアルを作成することです。マニュアルを使う人への聞き取り、どのようなレイアウトが読みやすいマニュアルなのか、手順に変更があった場合は更新が速やかに行えているか等、みんなの役に立つものを作ることは簡単ではありません。評価はもちろん気になりますが、それだけやりがいをもった仕事を行えるようなりました。

仕事以外の生きがいを見つける

私が就職した1年目は、休職のブランクが長かった為、終業までスタミナが持続しない問題がありました。体力をつける為にボクシングジムに通いはじめました。趣味として3年以上続けています。

仕事以外に趣味見つけることは、気持ちの切り替えをすることにも役立ちますし、心や人生を豊かにする効果もあります。仕事以外の目標をもつことで、張り合いのある毎日を過ごせます。

まとめ

精神障害を持つ人でも、自分の病気をよく知り対処を知れば安定的に仕事を継続できます。また病気の有無にかかわらず仕事に対する意識の持ち方次第で、毎日が不満に満ちたつまらないものになるか、充実した楽しいものになるか大きく変わるはずです。一日、一日は単調で辛いと思う日もあるかもしれませんが、毎日の小さな積み重ねが将来に向けての糧になります。やがて自信を深め人の役に立てていることに気がつく日が来るはずです。


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