【口下手・コミュ障必見】精神科看護師が教える恋愛心理学を応用した日常でも臨床でも使えるコミュニケーション技術の紹介


こんにちは!サイコセラピー研究所のてるてるです。
みなさんは恋愛コラムとか読みますか?てるてるは恋愛のれの字も無いような生活をしておきながらも、ちゃっかりコラムとか見ちゃうんですけれども…(笑)。まあ、私のことはさておき、恋愛コラムとかを見ると「絶対に落とせる恋愛心理」とかありますが、内容を読むと、「あれ?これ患者さんとのやり取りでよくやっているよ!」と思うものが、ちょいちょい見つかるんですよね。

そこで今回は、精神科看護師の私も、コミュニケーションの際に応用している「恋愛心理学」をご紹介していこうと思います!
恋愛以外にも、普通に対人スキルとしても活用できますので、対人コミュニケーションが苦手な方も参考にしていただければと思います。

目次

タッチング

もう、これは恋愛心理学などにもよく出てくる王道ですよね。でも、これ現場でよく使います!認知症の方への対応としてもタッチングは推奨されています。確かに触れながら話すと落ち着く方が多いですね。
タッチングはKnapp,M.Lという心理学者が、公衆電話から出た際に忘れたコインを次に公衆電話に入った人が渡してくれる確率が、すれ違い際の接触の差で違いが出るのかを検証したものです。

結果は…

  • 何のコンタクトもなく、接触もしないですれ違った・・・・63%
  • 離れ際に目が合った場合・・・72%
  • 目を見て微笑みかけた場合・・・86%
  • 目を見て微笑みかけて、さりげなく腕に触れた場合・・・96%

私だったら、見ず知らずの人に急に微笑みかけられたら、ちょっとビックリしてしまう気がしますが…(汗)結果には国民性の違いもあるのかなと思いますが、何もなかった他人より、何かしら接触があった人の方が親近感が沸くのは確かだなと思います。

単純接触効果

これも割と認知度が高い心理効果ですよね。よく目にする対象に好意を抱きやすいという心理効果です。

私は病棟勤務なのですが、これ、すごくわかります!患者さんは皆さん平等に対応しなければならないのですが…(汗)。車いすに乗って、常に看護師の目に留まる場所に居る高齢者の患者さんは、その日の担当でなくても、なんとなく気になってしまったりするものです。

ダブルバインド

これはどちらも質問者側にとっては利益となる選択肢を投げかけ、相手に選ばせることで「NO」を言わせない心理効果です。
例えば「今度会うの月曜にする?それとも水曜の方がいい?」といった具合に質問をすると、相手の答えは「月曜に会う」か「水曜に会う」となり「会わない」という返答は無意識のうちに消えてしまっています。

現場では寝てばかりの患者さんに「塗り絵する?それとも体操する?」などと話しかけて活動を促したりしています。

バーナム効果

対局する性質を突かれると、自分のことを言い当てられているように感じる効果。

例えば「〇〇さんはいつも明るく振舞っているけど、本当は繊細で傷つきやすいんだよね。」などと話すと、『この人は私のこと良くわかってくれている人だ!』と感じ、信頼してもらいやすくなります。

手の内を明かしてしまいますが、時々「誰も私のことなんかわかってくれない。」と訴えられる患者さんには、あくまでもその方の特徴をよく観察したうえで、このバーナム効果を使ったりします。

ゲインロス効果

マイナスな印象からプラスな印象へ転じた時、強烈に印象に残る効果で、最初の印象がマイナスなのがポイント。
例えは、すごく怖そうなお兄さんがタンポポを踏まないように歩いていたら、普通の人がそうするよりも「いい人だな」という印象が強くなりますよね。
初めは嫌な奴だと思ってた子と、卒業の時には親友なんてことも、あるあるかと思います。
ちょっと強面な看護師さんが患者さんから人気なんてことも病棟あるあるです(笑)。

ミラーリング

これも割と知られている心理効果かなと思います。相手の仕草や声色などを真似ることで、親近感を抱かせる効果です。これは、普段は親近感を抱いている相手に無意識にやってしまうことを、あえて意識的にやることで錯覚を起こさせているんですね。

これは、私はもうしょっちゅう使っていますね。患者さん一人一人、話し方や、訛り、テンポ、体の動きなど、色んなものをさりげなく真似ています。ミラーリングを使ってコミュニケーション取った方が、やっぱり心を開いてくれますし、やり取り自体もスムーズになりやすい気がします。

間欠強化

これは、継続して報酬をもらうよりも、不規則に報酬が手に入った方が、取り組みが長続きしやすいという心理効果です。
この効果も、乱用レベルで頻回に使っていますね。他者依存が強くて「歩けないから車椅子乗せてよ。」と訴える患者さんが一人で歩けているのを見かけたら、時々めちゃくちゃ褒める等々やっていますね。確かに、毎回褒めると褒められ足りない時とか、やらなくなっちゃうんですよね。“たまに”っていうのがポイントですね。

黄昏効果

夕方17~19時頃は判断力・認知力が鈍るという時間効果。人間の体内リズム的に夕方は、身体・思考共に機能が低下しやすく、事故が起きる件数も夕方が多いそうです。
判断力が鈍っているので、ちょっと言いにくい話をしたりするなら夕方がオススメってことですね。

言われてみれば、病院の営業時間の関係もあるのかもしれませんが、家族面会キャンセルになったなど伝えると、昼のうちは「なんでだー!」と不穏になる方もいますが、夕方だと割とどの患者さんもすんなり了承して下さいますね。

実はヒトラーも…
実はかの有名なヒトラーも、この黄昏効果を利用していたのではないかと言われています。夕方に大衆演説を行うことで、大衆を世界大戦へ導いたと言われています。心理効果は使いようによっては悪にも善にも転じるので、慎重に使っていきたいものです…。

スリーセット理論

人は会って3回でその人のイメージを固定するという理論。1回目で「この人のこと好きかも」2回目で「この人好きだな」3回目で「やっぱり私はこの人が好きだ」といった感じで、私たちは相手の印象を自分の中で固定していっているんですね。そのため、3回目のデートで告白することが多いのも、この理論からと考えられています。
私も患者さんからなるべく信頼してもらえるように、3回のやり取りの中で良い印象を残せるように意識しています!

反報性の原理

相手がくれた報酬と同じだけの報酬を相手に与えようとしてしまう心理効果。
恋愛面においては、自分のことを好きだと言ってくれた人を好きなるという効果があります。

私は、この心理効果を自己開示が苦手な患者さんに応用しています。病気の原因となった辛い出来事を話すのはかなり大変な事なので、なかなか話し出せない方が多いです。ですが、精神科治療をする上では原因を明らかにしたうえで治療していく必要があります。その時に、私も過去の辛かった出来事についてお話させてもらうことで、患者さんが心を開いてくださるようアプローチしています。

まとめ

いかがだったでしょうか?他にもまだまだ心理効果はあるのですが、ダラダラとご紹介しても仕方がないので、10個ピックアップして、ギュギュっと凝縮してお伝えさせていただきました。

心理効果は、上手く使えばコミュニケーションを円滑にしてくれるツールですので、興味のある方は色々調べて応用してみると、対人ストレスを減らせたり、交流の幅を広めたりするヒントになるかもしれませんね。