うつ病、非定型うつ病 新型の「うつ」の特徴と違いとは?


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うつ病は現在広く知られており、病名やおおまかな症状についてなら知っている方も多くいらっしゃると思います。しかし近年、一般的なうつ病のイメージや症状とは異なった症状があらわれ、新型の「うつ」ともいわれる、非定型うつ病の存在が話題になっています。

非定型うつ病は「甘え」と誤ってとられがちな症状が出ることもあり、今までのうつ病のイメージが強く残ったままだとうつ病であるという認識に至らないこともあります。

ここでは、うつ病、非定型うつ病の双方の原因、症状、治療法についてご紹介します。

目次

うつ病とは?

うつ病は脳に機能障害が起こっている状態であり、その名のとおり、憂うつな気分になるという症状が目立ちますが、その他にも精神的な症状があり、それと同時に身体にも様々な症状があらわれます。
また、日本では5%前後の人が一生に一度はかかるといわれており、しばしば他の精神疾患との併発もします。

うつ病の症状

精神症状

・常に憂うつになり、何に対しても楽しさを感じなくなる
・気分がいらだつ
・自分を責めるようになる、自分を無価値に感じる
・思考力、判断力、記憶力が落ちる
・死にたくなり、自殺を考える
・かなりの確率で不眠になる、日中に眠くなる
・朝、午前中に特に調子が悪い

身体症状

・頭痛
・体のだるさ
・食欲不振、体重減少
・めまい

精神症状を中心に、うつ病ではこういった症状が一時的なものではなく、2週間以上続きます。

また、憂うつな気分になるという症状はうつ病の代表的な症状ですが、ほかの精神疾患が原因で憂うつになってしまっている可能性もあるので、必ずしも「憂うつな気分が続く」=うつ病とは限りません。

うつ病の原因

・人間関係のトラブルなど環境によるストレス
・几帳面、完璧主義、責任感が強い、仕事熱心など、ストレスをためやすい性格
・遺伝的な要因
・病気や薬の副作用など身体的な要因

これらの要因により脳に機能障害が起こり、脳内の神経細胞の情報伝達がうまくいかなくなってうつ病が発症します。このように要因はいくつかありますが、うつ病を発症するきっかけは主にストレスであり、仕事のしすぎ、仕事や環境の変化、人間関係等がストレスの原因としてあげられます。

うつ病の治療方法

・入院や、仕事の負担を減らすなどの休養
・脳内の神経細胞の情報伝達を改善する薬物療法
・自分の思考パターンを見直す精神療法・カウンセリング゙

基本的にはこれら三つの方法で治療が行われます。
また、薬剤や病気など、うつ病の原因がはっきりわかっているのならば、それを取り除きます。
休養をしっかりとること、周りの人が無理に頑張らせない、むやみにプレッシャーをかけないということがうつ病の治療では重要になります。

うつ病は脳の機能の異常によっておこるため、専用の機器で脳を刺激することによって行われる治療もあります。
例として、m-ECT(無けいれん電気けいれん療法)と呼ばれる治療法があります。これは脳に電気を通す治療法で、抗うつ薬の効きが悪い人などを対象に行われます。脳に電気を通すといわれると怖く感じるかもしれませんが、昔の電気けいれん療法と違ってけいれんが起こらないなど安全性は高く、れっきとしたうつ治療の選択肢の一つです。

非定型うつ病とは?

非定型うつ病は、うつ病の一種ですが、その症状は上記の一般的に認識されているうつ病とは違う点があり、症状によっては、うつ病と全く反対の症状があらわれます。また、非定型うつ病が正式名称ですが、新型うつ病と呼ばれることもあります。

非定型うつ病の症状

・憂うつな気分が続く一方で、自分が好きなこと、楽しいことには気分が晴れて楽しめる
・過眠、寝すぎる
・ひどい倦怠感
・他人からの批判に過敏
・夕方、夜に特に調子が悪い
・食欲の増加、体重増加

以上のような症状が非定型うつによって引き起こされます。
この症状の中でもっとも特徴的なものは一番上の「憂うつな気分が続く一方で、自分が好きなこと、楽しいことには気分が晴れて楽しめる」です。うつ病の場合はどのような出来事に対しても憂うつな気分で楽しめないのに対し、非定型うつ病の場合は、仕事などの楽しみのないことに対しては憂うつな気分が続きますが、趣味などの楽しいことをしている際は憂うつな気分がおさまり、楽しめます。
このような特徴から非定型うつ病は、実際に苦しい思いをしているにもかかわらず、単なる甘えやサボりと誤解されやすくなっています。

非定型うつ病の原因

いわゆる普通のうつ病と同じようにストレス等が原因と言われています。また、人の評価を気にし、人から嫌われるのを恐れるタイプの人がなりやすい傾向があります。

非定型うつ病の治療方法

薬物療法、精神療法等によって治療が行われますが、従来のうつ病に効果を発揮していた薬の効き目が薄い傾向があったり、従来のうつ病患者のように無理にがんばらせないよりも、患者ができることからやらせていき、できることを増やしていくことが重要になる等の点で従来のうつ病との違いがあります。