【精神科作業療法士流】 これからデイケアや病棟で知的障害のある方と関わる方へのHOW TO 5選


こんにちは。作業療法士のしーちゃんです。
ついに3年目になりました~。まだまだ未熟ですが、がんばります・・・!

現在、わたしの働いているデイケアや病棟には、統合失調症やうつ病、発達障害などさまざまな疾患の方がいらっしゃいます。

疾患の特性によって患者対応の仕方が変わることがあります。たとえば、認知症の方だと簡単で分かりやすい言葉で話しかけたり、ルールの逸脱しやすい方は枠組みを設定したりしています。

今回お話しするテーマは「知的障害」です。 知的障害といっても、障害の程度はその人によってさまざまです。 なかには社会生活を送っており、就労に向けて頑張っている方もいらっしゃいます。

そこで今回は、わたしがデイケアや病棟で知的障害の方と関わった中で学んだことや、これから関わる方へのHOW TO 5選についてお話ししていきたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。 それではどうぞ。

目次

そもそも知的障害ってなに?

・発達時期において脳に何らかの障害が生じたため、知的発達に遅れや障害が出て、日常生活を送るために特別な援助を必要とする状態。
・障害は18歳ごろまでにあらわれる。
・障害が重度の場合は常に同伴者と行動する方もいるが、軽度の場合は社会で働く方もいる。

知的障害によくみられる行動

学習技能を身につけることが難しい。
・読み書きや計算、論理的思考、知識や問題解決、コミュニケーション能力や社会的判断、自己制御、お金の管理に明らかな制約がみられる。

柔軟に考えて対処することが難しい。
・計画を立てたり優先順位をつけたりすることが難しく、問題を解決するために固定化された方法でしか対処できないことがある。
・一度にたくさんのことを言われると混乱し、なかにはパニックになってしまう方もいる。

コミュニケーションが難しい。
・言語的なコミュニケーションが難しかったり、相手の意図を正確に理解することが難しかったりする場合がある。
・難しい言葉や複雑な話、抽象的な概念を理解するのが難しい。
・人に尋ねたり自分の意見を言ったりすることが苦手な方もいる。
・同じ質問を繰り返すことがある。

自分の気持ちや行動のコントロールが難しい。
・一つの行動に執着することがある。
・なかには、ストレスで衝動的な行動をとってしまう方もいる。

食事や身支度といった身の回りの自立に時間がかかる。
・同年代と比べて、複雑な日常生活上の課題には支援が必要である。
・自立するには長期的な支援が必要な場合がある。

障害の程度とは

障害の程度については大きく分けて軽度、中度、重度、最重度の4つに分類されています。

① 軽度
・小学校もしくはそれ以上のレベルの学習については適切な支援があれば達成することができる。
・日常生活のなかでの物事の決定については、ほとんどの方は最低限の支援があれば自立した生活をすることができる。
・金銭や食事、買い物については手助けや見守りが必要な場合がある。

② 中度
・日常のコミュニケーションに問題はないが、複雑なものは制限を受ける。
・社交的な表現や場の雰囲気を読んだり、社会的な場面での判断や意思決定をしたりすることについては支援が必要である。
・身の回りのことについては、具体的な指示や支援によって可能である。
・仕事については、概念的な理解や社交術などがあまり必要でない仕事内容だったら可能である。
・自立した生活を行うためには、グループホームのような施設の支援がある場合は可能である。

③ 重度
・コミュニケーション能力は最低限度となる。
・身の回りのことについては日常的に支援が必要である。
・安全面においては、介助や介護付きの住宅での生活が必要である。

④ 最重度
・日常生活において全面的に介助・介護が必要となる。
・24時間の介護支援体制が必要である。
・コミュニケーション能力はかなりの制限を受ける。
・身体面や知覚においても制限があることが多い。

どうやって関わっていけばいいの?~HOWTO5選~

1.穏やかな口調で話しかける
・「どうしましたか。」「なにかお手伝いしましょうか。」と話しかける際、穏やかな口調で声掛けすると、相手の緊張もほぐれやすくなる。
・混乱していたり理解していなかったりする場合も優しい口調で声掛けをする。

2.相手が理解しやすい言葉や表現方法を使う
・抽象的な表現では理解するのに困難な場合があるため、具体的に説明するよう心がける。
・こちらが一度説明して、「意味分からない。」「どういうこと?」といった返答があったら、違う言い方でより詳しくゆっくりと話す。
・漢字の読めない方もいるため、ふりがなをふったりひらがなで書いたりする。
・言葉や文字だけではなく絵を付け加えるとイメージがしやすく伝わりやすい。
・初めてコミュニケーションをとる方とは、漢字が分かるか、ひらがなが読めるか確認しながらコミュニケーションをとる必要がある。

3.短い文章でゆっくり丁寧にくり返し説明する
・話が伝わりにくい場合は、キーワードをゆっくり繰り返し伝える。

4.話に関心を持つ
・子供扱いせず、目線を合わせて相手の話を聞く。

5.自己肯定感を高める関わり方をする。
・やる気を高めるかかわり方をする。
・「できた。」という成功体験を与える。
・「自分はできる。」という自信を育てる。
・「自分でも役に立つ。」という体験を与える。
・できることから始める。
・無理のない目標設定をする。
・当たり前のことができたら褒めたり認めたりする。
・役割や仕事を与え、できたことを褒める。
・できたことを認め、褒めてのばし、自身のことを好きになれるようにする。

まとめ

知的障害のある方と関わる方へのHOWTO5選、いかがでしたでしょうか。
知的障害の定義や分類について学んでも、実際に会って話すと、なかにはどう関わったらいいのか戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。
IQや障害手帳の度数や障害程度区分が同じであっても、障害の程度や性格は人によって異なります。

わたしも仕事で日々試行錯誤しながら知的障害の方と関わっています。
時には、言葉の選び方を失敗し難しい言葉を使って、相手を混乱させてしまったこともあります。
一度で関わり方を習得するのはとても難しいため、いろいろな方と関わりながら少しずつ学んでいくことも大切ですね。

医療従事者として知識や技能の向上が基本となりますが、笑顔で接したり、達成感を味わってもらったり、共感したりすることも大切です。
「支援」と言うと相手に「してあげる」というイメージが多いですが、その方の自尊心を傷つけないよう配慮する必要があります。
ベースを理解した上で、障害を持っている方と向き合い、その方に合った支援を行うことがとても大切です。
自立するには長期的な支援が必要なことがあります。

個別的な支援が必要ですが、絶対にこれが正しいとは言えません。
少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
さよなら~~。

【参考文献】
atGP 障がい者(障害者)の求人転職情報・雇用支援サービス
https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/hatarakikata/c2040/#:~:text=%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%AF,%E3%81%99%E3%82%8B%E7%8A%B6%E6%85%8B%E3%82%92%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/chiteki/#:~:text=%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E7%99%BA%E9%81%94%E6%9C%9F%EF%BC%88%E5%B9%BC%E5%B0%91%E6%9C%9F%E3%81%8B%E3%82%89,%E3%81%A5%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A7%E3%81%99%EF%BC%88DSM%2D

LITALICO仕事ナビ
https://snabi.jp/article/49#famgk

ヘルパー会議室
https://helper-kaigi.net/post-4410/

知的障害への理解と対応
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/2010227.pdf