サザエさん症候群とは?うつ病との関連性、何か対策はある?


サザエさん症候群の「サザエさん」というのは、日曜日の夕方にテレビで放映されるアニメの主人公サザエさんのことです。といって、サザエさんのアニメを観て憂うつになるというのではありません。

日曜日の終わりを意識させるサザエさんの放映時間帯になると落ち込む人たちのことを指した症候群のことです。

目次

サザエさん症候群とは

日曜日の夕方に憂うつ感などがあらわれる

土日の休みを前にした日には、休みになったら、普段はできない読書や部屋の掃除やノートの整理などをやろうと考えます。でも、いざ、休みに入るとなんとなく時間が過ぎて行って、気が付けば何もしないまま、日曜日が終わろうとしています。

テレビからは、「お魚くわえたドラ猫、追っかけて、裸足でかけてく、陽気なサザエさん・・・」のテーマ音楽が流れてきています。とても明るい曲ですが、何となく無為に終わった休日に対する悔いのような気分が起こり、明日から始まる日々を思ってブルーな気分になります。

これは、多くの人たちが経験することですが、このブルーな気分を基調として、体のだるさやヤル気の喪失、集中力の欠如などにほかに頭痛や吐き気などの身体症状があらわれてきたら、サザエさん症候群ということになります。

正式な病名ではない

サザエさん症候群は、れっきとした病名ではなく、日曜日の夕方、「サザエさん」の放映が始まる頃、休日の終わりと仕事の始まりを意識して憂うつになる症状を指した俗称です。

ですから、同じころにはじまる「笑点」をもじって「笑点症候群」と呼んでもいいのですが、「サザエさん」の方が日曜日・夕方の定番であるとの認知度が高いことから命名されたものに過ぎません。

楽しい休日が終わり、辛い仕事が始まる時に憂うつになるのは、日本人だけのものではありません。世界的にはブルーマンデー症候群と呼ばれ、休日明けの物憂い月曜日として広く認識されています。

ブルーマンデー経験者は30代で51.4%

ブルーマンデー実態調査

不動産情報を手掛ける「オウチーノ」という会社が、2014年に、20~59歳のビジネスパーソンを対象に行ったブルーマンデーに関する調査があります。

「あなたは日曜日の夜や月曜日の朝に、休み明けの仕事のことを考えて憂鬱になったり、気分がすぐれなくなったりすることがありますか?」という質問に対して、15.7%が「いつもなる」、27.1%が「なることが多い」と、合わせて42.8%が「ブルーマンデー」になると答えています。

年代別で見ると、「ブルーマンデー」経験者は、30 代で最も多く51.4%、次いで20 代が48.7%、40代が38.0%、50代は33.9%でした。具体的な症状としては、気分が落ち込むという人が目立ちますが、中には、「急な腹痛で出社を遅らせることが多い」など、身体的な症状を訴える人もいました。

うつ病との関連性は?

一般的なうつ病は常に憂うつである

サザエさん症候群は、うつ病の一種だとする説があります。ただし、一般的なうつ病ではなく、最近増えてきている「非定形うつ病」に近い症状ではないかと考えられています。

抑うつ状態が2週間以上続くと、うつ病の嫌疑がかけられます。一般的なうつ病の特色は、常に憂うつな気分に支配されているのですが、非定形うつ病は、一時的に気分が良くなるタイプのうつ病です。

20~30歳代に増えている精神疾患の一つですが、食欲不振や不眠などの症状が現れる一般的なのうつ病と違い、睡眠時間が長くなる、食事の量が多くなるなどの特徴があります。

非定型うつに近い?

サザエさん症候群の症状は、非定型うつに似ています。新型うつとも呼ばれる非定型うつ病は、常に憂うつな一般的うつ病と異なり、憂うつになるタイミングが限られているというのが特色です。

参考まで、一般的なうつ病と非定型うつ病の違いをまとめてみました。

一般的なうつ病(メランコリー型)の症状
非定型うつ病の症状
気分の落ち込み(抑うつ気分)
楽しいことがあると抑うつ気分が改善する
何も楽しめない、興味を持てない
興味と喜びの喪失はあまりない
食欲増加もしくは低下/不眠あるいは過眠
食欲低下もしくは増加/不眠は少なく過眠
疲れやすい
疲労感・倦怠感が強い
身体活動と思考能力の低下恐怖感・不安感が強い
自分に価値がないと考える(無価値感)夕方に憎悪しやすい
自分に罪があると考える(罪責感)罪責感は希薄

死にたいと考える(希死念慮)周囲の言動に過敏に反応する

ストレスが強すぎるとうつ病につながる

うつ病は、人間関係のストレスなどで発症することがあります。几帳面で完璧主義で、責任感が強いといったストレスをためやすい性格の人が、うつ病にかかりやすいとされています。

非定形うつも、発症の要因は変わりません。当然、非定型うつに症状が似ているサザエさん症候群にとっても、ストレスは要注意です。

休み明けは自殺率が高い?

ちょっと怖い話ですが、休み明けは、自殺率が高いと言われています。中でも学生の夏休み明けに多いとされています。この事実を、休み明け憂うつになるサザエさん症候群に適用するのは、少し脅かし過ぎのように思われますが、サザエさん症候群/ブルーマンデー症候群の中には、こうしたリスクが潜んでいることを自覚しておくべきでしょう。

サザエさん症候群の対策方法は?

休日にリフレッシュする

休日に「寝だめ」する人がいます。肉体的な疲れを癒すという意味で、「寝だめ」は一概に否定できません。

しかし、ただ、ゴロゴロとした「寝だめ」をしていると、休みの日にやりたかったことをせず、無為に過ごしてしまった、という悔いが残り、精神的には逆にこのことがストレスとなります。

適度な運動をしてストレスを発散することをお勧めします。土日の連休の場合、土曜日に運動するのではなく日曜日に運動する方がストレス発散には効果的です。

というのも、土曜日に運動をすると、日曜日はその疲れで寝過ごして、日曜日の夜に眠れなくなりがちです。

休日に夜更かしなどはしない

仕事を持っている人は、週末に夜更かしして、休日に朝寝坊しがちです。これは、ストレス発散にもなりますから、一概に悪いとはいえませんが、夜更かしが常態化すると人間の体内時計が狂ってきます。

ひいては、それが不眠へとつながります。そこで、毎日、寝る時間と起きる時間を決めて実行することをお勧めします。

平日にも息抜きをするようにする

ブルーマンデーは、大多数の人が経験する憂うつです。ならば、開き直って、月曜日の夜に思い切って息抜きをするのもいいでしょう。

例えば、月曜日の夜にデートの予約を入れたり、友人との飲み会を入れたりすると、憂うつな月曜日が「待ち遠しい月曜日」になりませんか?

休むことに捉われない

サザエさん症候群の人は、一体に生真面目な人が多いようです。そのために、休日に「とにかく休まなければ…」と思ってしまいがちです。

しかし、とらわれ過ぎると、かえって精神的な負担になってしまいがちです。休日も平日と同じように起きだし、仕事の変わりに運動する、ということにすれば、月曜日に対する憂うつ感も少なくなるのではないでしょうか。

症状がひどくなったら病院に

サザエさん症候群は、病気というより、気分の全体的な落ち込みですから、自分なりの工夫と気の持ちようで、克服することができる症状です。

ただ、憂うつな気分のほかに頭痛、吐き気といった身体的症状が伴うようであれば、うつ病や適応障害の可能性も考えられます。その場合は、躊躇うことなく精神科や心療内科などの医療機関で相談することをお勧めします。


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