仕事がしたい精神障害者におすすめの施設と支援制度


「精神的な疾患を抱えているけど働けるかな」「自分でお小遣い程度は稼ぎたい」「今は安定しているけど、元の職場戻って働けるかな」なんて悩んでいる人はいませんか?

そんな悩みを抱えている精神疾患を持つ皆さん!これを読むと悩みも少しは軽くなるかもしれません。なぜなら、精神疾患を抱えながら就労を目指す人を応援する施設や制度がいくつもあるからです。

そこで今回は、精神障害者の就労に役立つ、支援制度や施設を紹介していきたいと思います!

自分に合った支援の選び方のポイントも解説しているので、ぜひ利用の参考にしてみてください。

目次

精神疾患を抱える人の就業率ってどのくらい?

世の中には精神疾患を抱えていても様々な形で働いている方が数多くいます。また、平成30年4月より障害者雇用義務の対象として、これまでの身体障害者、知的障害者に精神障害者が加わり、あわせて法定雇用率も変わりました(障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました|厚生労働省)。

そもそも障害者雇用とは?

障害者雇用とは、障害者手帳を持っている人を対象に障害者雇用枠で障害のある人を雇用することです。障害者の職業の安定を図るため、障害者雇用促進法に基づき、事業主に対し、従業員の一定割合(=法定雇用率)以上の障害者の雇用が義務付けられています。

障害者雇用で働く精神障害者の数は年々増加

精神障害者の就職先や就労する職種は徐々に増えてきています。下のグラフは厚生労働省が発表した平成30年版の障がい者雇用状況の集計結果です。

直近の平成30年には、6万7千人の精神障害者が働いていることがわかります。自分の疾患を公表せず働いている方も中にはいますので、精神疾患を抱えながら実際に働いている人数はもっといると思われます。

実雇用率と雇用されている障害者の数の推移

実雇用率と雇用されている障害者数の推移グラフ
平成30年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

注1:雇用義務のある企業(平成24年までは56人以上規模、平成25年から平成29年までは50人以上規模、平成30年は45.5人以上規模の企業)についての集計。
注2:「障害者の数」とは、常用雇用労働者数のカウント方式に基づき、重度身体障害者等はダブルカウント。
平成30年は、精神障害者である短時間労働者であっても、次のいずれかに該当する者については、1人分とカウント。
①平成27年6月2日以降に採用された者であること
②平成27年6月2日より前に採用された者であって、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者であること
注3:法定雇用率は平成24年までは1.8%、平成25年4月以降平成29年までは2.0%、平成30年4月以降は2.2%。

就労継続支援

まずは、「働きたい。でもまだ体調に波があるし、少しずつ自分のペースで通いたい」という方におすすめの就労継続支援について紹介したいと思います!

就労継続支援とは、企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調に合わせて自分のペースで働くための準備や訓練、仕事を行うことができる福祉サービスの1つです。基本的には軽作業をメインに行います。

就労継続支援には種類があり、主に「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2つに分けられます。A型とB型では雇用契約の有無や賃金(工賃)等が異なりますので、利用の前には注意が必要です。まずは利用がしやすいB型を見ていきましょう。

就労継続支援B型

就労継続支援B型は別名B型作業所とも言います。どちらかというと後者の方が主流かもしれません。

「どれくらいできるかわからないから、少しずつやってみたい」「まずは人と働くことに慣れたい」という方におすすめです。

B型の特徴は、働く際に雇用契約を結ばないこと+基本的に年齢制限がないことです。

年齢制限がないから、やってみようというやる気さえあれば働くことができます(もちろん、主治医に相談して許可をもらうことは必須!)。自身の体調に合わせて働くことができ、場所によっては隔週1回2時間からなんてことも可能です。

デメリットとしては「工賃」という名称で成果報酬が支払われますが、雇用契約を結んでいないため、最低賃金は保証されません。作業所の運営状況は厳しく、国が定める最低賃金を下回ってしまうところが多くあります。このような現状から2021年度の障害福祉サービス等報酬改定で、B型の工賃向上に向けた基本報酬体型の見直しが行われる予定です。

就労継続支援A型

2つ目は「働く体力も大丈夫。でもまだ一般企業で働くのは不安だな…」「病気のことで困ったことがあったら相談しやすいところがいいな」と思っている人におすすめの就労継続支援A型。A型作業所とも呼ばれ、"一般企業での就労は難しい。でも、一定の支援があれば継続して働ける"という人向けです。

B型との違いは年齢制限があること+雇用契約を結ぶことです。

原則として18歳から65歳未満の方を対象としています。また、雇用契約を結んでいるので、1時間労働あたりの最低賃金は守られています。

A型もB型も一般企業に就職するための準備を行いつつ、お金も稼ぐことができるのがメリットです。ハローワークや福祉事務所などで聞いてみると、就労継続支援を行なっているところを紹介してくれるので、興味を持った方はぜひ行ってみてください。

就労移行支援

次は「働きたい。でも今の自分のスキルだと不安だな」「自分が得意なこと、自分にはどんな仕事が合うのか見つけたい」「自分のことをもっと知りたい」という方におすすめの制度、就労移行支援です。

疾患と向き合いながら就労を希望する人が、就職に役立つスキル獲得や職場定着に向けたサポートを受けられるサービスです。

就労移行支援を利用できる人は未就労、未就学の就労を目指している18歳から65歳未満の方です。

ExcelやWordなどのPCスキルを習得したり、電話対応の仕方や服装などのビジネスマナーを学んだり、心理検査などを通して自分の適性を見つけたりするなど、様々なプログラムを通して皆様の就労を支援してくれます。

就労移行支援施設はすべて同じではなく、施設によって雰囲気や実際に行っているプログラムの内容など異なるため、利用する際は複数の施設を見学してから利用場所を決定することをお勧めします。

リワーク施設

最後に「今は安定して仕事ができているけど、ストレスがかかる仕事に戻っても大丈夫かな」という方におすすめなリワーク施設の紹介です。

リワーク施設とは休職している人が、復職した後も安定して仕事を続けられるよう支援してくれる施設です。

具体的にはグループワークや課題を通じて自身の思考の偏り(こだわった考え方)に気が付いたり、他の人と協力していく姿勢を身に着けたりすることで、会社で働く際のストレスを対処する方法を学んだり、少しのストレス負荷がかかっても働いて行ける耐性を付けたりします。単純に働くための体力をつける場でもあります。

働くことだけではなく、働いて家に帰った後を想定した、調理プログラムなどを行っている場所もあるようです。

原則利用期限などはありませんが、リワークを利用する際も主治医に相談が必要です。また、就労移行支援と同様に施設により雰囲気が異なりますので、複数の施設を見学し、自分に合った場所を見つけることが大切です。

まとめ

今回紹介できたのは4つだけですが、他にも就職をサポートしてくれる様々な施設や制度があります。

その他の制度を知りたい方は検索してみるのもよいですし、近くのハローワークや障害福祉センターを訪ねるのもおすすめです。

就労をあきらめず、ぜひ自分に合った制度を見つけてください。