統合失調症を患うと寿命は短くなる?平均寿命はどれくらい?

統合失調症にかかると「寿命が短くなる」、という話を聞いたことはありませんか。これはある意味であたっていますが、ある意味で的外れです。

確かに統合失調症の患者を対象にした研究報告では、一般の人の平均寿命よりもかなり低い数値が報告されています。しかし、それは統合失調症特有の心身の環境や副次的な作用、あるいは自殺などの要因がからまった結果の数値であることも事実です。

統合失調症の人は、体質的に短命であるというわけでもないのです。長生きしている元患者さんも少なくありません。そこで、今回は統合失調症の平均寿命を押し下げている要因についてまとめてみました。

統合失調症の人の寿命

統合失調症の人は、普通の人に比べると生活環境や身体的な環境が大きく異なっています。そのために精神的負担が大きくなります。これが、統合失調症の人たちの平均寿命に影響していると考えられています。

日本人の平均寿命は?


参考:厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」

2015年の平均寿命は男性が80.79歳 、女性が87.05歳となっています。平均寿命が男女とも80歳を超えたのは2013年ですが、その後も平均寿命は着実に伸びています。日本では、人生80年の時代になりました。日本は世界有数の長寿国です。

統合失調症の人の平均寿命は何年?

では、統合失調症の人の平均寿命はどのくらいでしょうか。ある研究報告によると、61歳という数値が報告されています。これをみると、確かに統合失調症の患者の平均寿命はかなり短くなっています。

しかし、このことで統合失調症にかかった人の寿命は短い、と決めつけるのは誤解をまねきかねません。この報告によると、死因のトップは虚血性心疾患の50~75%です。これは普通人の33%の2倍強の高さです。

虚血性心疾患は、高齢 タバコ メタボ、ストレスなどが大きな要因だとされています。また、自殺は10%で、これは普通の人の10倍の高さです。

つまり、統合失調症の要因になったストレスや症状の中で発生した自殺などの副次的なものが、統合失調症の平均寿命を押し下げているということです。統合失調症の人の体質が短命、というわけではありません。

薬による悪影響

統合失調症の治療は、薬物療法を中心に進められていきます。薬には、副作用が伴います。統合失調症の人の寿命を考えるとき、薬の副作用の影響も考えられます。

統合失調症の治療に使われる薬

統合失調症の薬物療法で主に抗精神病薬を使って、興奮や幻覚、妄想を抑え、精神の安定化をはかっていきます。抗精神病薬は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬に分けることができます。

定型抗精神病薬というのは以前から用いられていた薬、非定型抗精神病薬は最近になって用いられ始めた薬を指します。非定型抗精神病薬は、副作用を軽減させるために開発されたもので、副作用は定型抗精神病薬と比較すると少なめです。

薬の副作用

抗精神病薬の副作用としては、以下のようなものがあげられています。

落ち着かなくなって座っていられない、体がこわばって動きも悪い、震える、よだれが出る、口などが勝手に動いてしまう、筋肉の一部がひきつるなどです。眠気、だるさ、立ちくらみ、喉がやたらと渇く、便秘などは、薬物による随伴的な副作用です。

このほか、肥満や高脂血症を誘発しやすくなることなども指摘されています。ただし、これらの副作用は人の体質によって異なりますから、担当の医師と相談して、自分の体質に合った薬を処方してもらうことで、副作用を軽減することも可能です。

統合失調症は薬とも長く付き合う

抗精神病薬は、長期間服用を続けることを前提に開発された薬ですから、10年以上服用を続けたとしても副作用の少ない安全な薬です。

それよりも怖いのは、自分の判断で薬の服用を中断し、おさまってきていた病状が再発することです。

悪影響を最小限にとどめるためには?

実際、薬の副作用に不安を感じて、勝手に服薬をやめる人もいます。しかし、それは逆効果を招きかねません。本人がもう服薬しなくても大丈夫だろうと思っていても再発するのが統合失調症です。

再発すると治療が長引いてしまいます。その結果、最終的には服薬する薬の量はむしろ増えてしまいます。薬の副作用に不安があったとしても、しっかりと薬を飲んで治療を行うことこそが、一番飲む薬を減らすことにつながります。それでも不安ならば、早めに担当医師に相談するようにしてください。

生活習慣の乱れ

食事面

統合失調症の人に肥満が多いのは、薬や体質によっては食欲が増えてしまうからです。また、動きが少なくなるので、消費カロリーが少なくなるということがあります。

さらに、動きが少ないことで、血栓ができやすく、突然死のリスクもでてきます。肥満と言えば、メタボ(メタボリック症候群)が連想されますが、これは単に腹囲が大きくなるということではありません。高血圧・高血糖・脂質代謝異常によって、心臓病、脳卒中を誘発しやすい状態になっています。

酒、たばこ

統合失調症では精神の負担、不安を逃れるために、酒やたばこに依存する人が少なくありません。これが、過剰になると精神疾患のひとつである依存症に進行します。酒やたばこの過剰な飲酒・喫煙が体によくないことは説明するまでもないことです。

生活習慣をただすためには

規則正しい生活習慣に近づくように努力し、バランスのとれた食生活をすることが、病気の予防・回復に欠かせないことです。

自殺の影響

うつ病をはじめとする精神疾患では、精神への負担が大きく、自殺することを選んでしまう人もいます。統合失調症の平均寿命が短いことの一つに、自殺が考えられます。

実際の自殺率は?

先に統合失調症の患者の死因に占める自殺の割合が10%で、これは普通の人の1%の10倍にあたるという数値を紹介しました。

警察庁の統計によると、2011年(平成23年)の自殺者は3万651人ですが、自殺の原因・動機が特定された者のうち、うつ病への罹患が自殺の原因・動機の一つとして推定できるものは、約3割に達しています。

もう少し詳しく見ると、健康問題を起因として自殺に至った人のうち、うつ病6513人、統合失調症1313人、アルコール依存症295人、その他の精神疾患1258人となっています。

なぜ自殺に至るのか

統合失調症では、幻覚や妄想と同時に希死念慮と呼ばれる死へと傾斜する症状があらわれます。また、うつ病では、憂うつで気分が重い、イライラする、元気がないなどの症状のほかに、物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れないなどの症状があらわれ、ついに自殺に至ったという不幸な事例が少なくありません。

自殺しないためには?

回り道のように見えても、しっかりと治療をしていくことが、自殺予防への近道です。また、抗精神病薬には、再発を予防する再発予防効果があると言われています。

回復したあとも飲み続けると再発しにくくなるとされています。統合失調症の再発のリスクがなくなるというのは、希死念慮や自殺願望がなくなり、ひいては延命につながると考えることもできます。

いずれにしろ、自分の判断で勝手に薬の服用を中断することは、禁物です。このほか、当人の様子がどうもおかしいと気がついたら、目を離さず、場合によっては精神科病院への入院を考えるべきでしょう。

努力すれば長生きに

規則正しい生活をして、養生に努めるというのが基本です。忘れてならないことは、統合失調症の平均寿命が61歳だから、その年に死ぬというものではないということです。

これより早く亡くなる人もいれば、70歳、80歳まで長生きしている統合失調症の元患者さんたちもいます。統合失調症であろうとなかろうと、寿命を延ばせるか伸ばせないかは、ひとえに自分の日ごろの心がけ次第だということを肝に銘じておきましょう

参考:
・厚生労働省
[簡易生命表/平成27年]
[平成24年版厚生労働白書]
[みんなのメンタルヘルス]

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