精神疾患患者の不調のサイン~こういうときは気を付けて!~


ご自身の不調時のサインは把握されていますか?

こんにちは。作業療法士2年目のしーちゃんです。今年の春からはいよいよ3年目になります。緊張しますね・・・!
わたしは現在精神科デイケアで働いており、毎日さまざまな疾患の患者さんと関わっています。通所しているほとんどの方が安定して社会生活を送っています。

しかし、定期的にデイケアに通えていても、なかには体調を崩されて入院される方もいらっしゃいます。突然体調を崩して入院、という方はほとんどいません。ある日を境に少しずつ体調が悪くなり悪化してしまう、といったケースが多いです。

不調のサインは患者さんによってさまざまですが、自身の不調に気づかないことが多く、普段と変わらず社会生活を送られる方もいらっしゃいます。スタッフが声掛けをしても「大丈夫です。」「体調いいです。」と話される方もいらっしゃいます。そしてデイケアに来所できなくなり入院してしまうケースもいます。そういった方は、自身の不調のサインを把握できていない方が多い印象です。

ところでみなさん、ご自身の不調時のサインは把握されていますか?今回は、統合失調症やうつ病、そう病の不調のサインについてお話していきます。また、わたしが実際に見た患者さんの不調のサインについても挙げていきたいと思います。それではどうぞ。

目次

<統合失調症の不調のサイン>

統合失調症は再発しやすい病気といわれています。
再発で多い原因は、怠薬やストレスです。ストレスは、仕事や家庭などにおける人間関係、恋愛関係などでみられます。薬を自己中断し症状を悪化させてしまう方もいます。統合失調症で多く現れる症状は幻覚や幻聴、妄想です。はっきりと聞こえたり見えたりするため、実際に起きていると信じてしまう方が多いです。

【本人が気づくサイン】

・神経質になる。

・音に敏感になる。

・考えがまとまらない。

・集中力が低下する。

・なんとなく周りの雰囲気が変わった気がする。

・緊張する。

・不安が強くなる。

・いらいらする。

・寝ていてもすぐに目がさめる。眠れなくなる。

・物事に興味がなくなる。

・幻覚が見える。

・幻聴が聞こえる。(その場にいない人の声が聞こえる。)

【周りが気づくサイン】

・いらいらしている。

・風呂に入らなくなり、身だしなみが乱れ、異臭がする。

・表情がぼんやりしたり険しくなったりする。

・不眠が続いている。

・妄想を言うようになる。(悪口をいわれた、いじめを受けたと訴えるが、実際には何も起きていない。監視や盗聴を受けていると言うため調べたが、何も見つけられない。)

・幻聴を訴える。(命令する声が聞こえると言う。)

・被害的で疑り深くなる。

・いつも不安そうで、緊張している。

・にやにや笑うことが多くなる。

・話にまとまりがなくなる。

・作業のミスが多くなる。

・趣味や楽しみに興味を示さなくなる。

・人づきあいを避けて、引きこもるようになる。

・何もせず、ごろごろしている。

・独り言が増える。

・他人の視線を気にするようになる。

【実際にあった!?統合失調症患者の不調サイン】

・何度もデイケアへ電話をかけ、「どうすればいいですか。」と泣きながら不調を訴える。
・「うちの孫が狙われている。」「脳みそが溶けてしまう。」と妄想発言がみられる。
・訪問看護やデイケアといった医療機関を拒否し、自宅に引きこもりがちになる。電話も拒否をする。

<うつ病の不調のサイン>

うつ病は本人が気づきにくい病気です。知識がないと、症状が現れているのに気づかないこともあります。また、重症になると病気であることを認識できなくなります。
うつ病の再発は、前回とは違う原因で再発することもあります。
再発のときの症状は初発のときと似ています。感情が不安定になったり意欲が低下したりします。主な再発サインは不眠症状です。不眠は特に初期から現れ、また長く残りやすい症状です。

医療機関に受診するためには、家族や周囲の人が気づくことがとても大切です。しかし、無理に受診を勧めると、本人が余計に落ち込んでしまうこともあるため、再発のサインを正しく捉えて本人に具体的に伝えることが大切です。

【本人が気づくサイン】

・気分が沈む、憂鬱になる。

・何をするのにも元気が出ない。

・イライラする、怒りっぽい。

・理由もないのに、不安な気持ちになる。

・気持ちが落ち着かない。

・動悸がし、息苦しい。

・何度も確かめないと気がすまない。

・食欲が出ない、食事がおいしく感じられない。

・なかなか寝つけない、熟睡できない。

・夜中に何度も目が覚める。

・死にたいと感じる。

【周りの人が気づきやすいサイン】

・希死念慮がみられる。

・口数が少なくなる。

・いらいらしている。

・朝や休日明けに調子が悪くなる。

・遅刻、欠勤が増える。

・だるさを訴える。

・身辺整理をしはじめる。

・急に痩せた。

・気分の波が激しくなった。

・表情が暗くなった。

・一人になりたがる。

・不満、トラブルが増える。

・遅刻や休みが増えた。

・ぼんやりしていることが多い。

・ミスや物忘れが多い。

【実際にあった!?うつ病患者の不調サイン】

・ベッドで寝たきりになり、デイケアのプログラムに誘っても拒否する。

・表情がぼんやりしており、活気がみられない。食欲ややる気が湧いてこない。

<そう病の不調のサイン>

そう病は、理由もなく気分の高揚が強いのが特徴です。普段より多弁になり、話し続ける様子がみられるため、周りの人が気付きやすいです。

気分が良すぎることから、自身で異変に気付かず症状を訴えない方が多くみられます。

【本人が気づくサイン】

・気分が高揚している。

【周りが気づくサイン】

・生命感にあふれ、表情が明るくなる。

・全く睡眠をとらなくなったり睡眠時間が2時間以上少なかったりしても、元気で活動を続けられる。

・人の意見に耳を貸さず話し続ける。会話が支離滅裂である。

・次々にアイデアが出てくるが、達成することができない。

・根拠のない自信に満ちあふれている。

・判断力や金銭感覚が低下し、買い物やギャンブルに莫大な金額をつぎ込む。

・初対面の人にやたらと声をかける。誰にでも話しかける。

・性的に奔放になる。異性に強く関心を示す。

・誇大妄想がみられる。(自分が金持ちやどこかの国の大統領だと話す。)

・恋愛妄想がみられる。(自分は異性にもてると話す。)

・興奮したり大声で話したりする。

・気分が高揚している。

・自己中心的になり要求が多くなる。

・落ち着きなく、頻繁に電話をかけたり外出したりする。

・原色の服を着たり、アクセサリ-で身辺を飾ったり、派手な化粧をする。

・お金の使い方が荒い。(1日に何度も買い物に行く。)

・よく食べる。

・あまり寝ない。(早く目が覚める。)

・易刺激性になり怒りっぽく、よくけんかをする。

・威張ったり、ありえないような大きなことを言ったりする。

・頭の回転が速く、要求を押し通そうとする。

【実際にあった!?そう病患者の不調サイン】

・プログラム中ずっと話し続け、スタッフの制止が入らない。

・ある女性患者が初対面の男性患者に突然「いえいっ」とダブルピースをする。

・毎日自宅に通販の品物が届く。通販を利用しすぎてお金が足りなくなり、家を売ると言い出す。

・デイケアに頻回に電話をかけ、まとまりなく話し続け職員の話が入らない。

<まとめ>

今回は統合失調症やうつ病、そう病の再発のサインについて紹介しました。
薬を飲めていても、ストレスによって体調を崩してしまう方は多いです。不調が続き日常生活に支障が出た場合は、医療機関へ受診することをおすすめします。

再発した際は、自分を責めず、治療や休息が必要です。家族や周りの人、医療者が治療に専念できるような環境をつくることが大切です。他人よりも自分のほうが自身の不調に気づきにくいです。周りの人が「いつもと様子が違う。」と感じた場合は、医療機関をすすめることも大切です。

「どんなときに体調を崩すか」、「体調を崩すきっかけ」、「体調が悪くなったときの症状」、「体調が悪くなったときの対処法」といった内容を記入した不調ノートを作るのもいいですね。そうすれば、体調を崩した際に、周りに不調時の様子を知ってもらいやすくなります。

不調のサインは人によってさまざまなため、「この様子がみられたら必ず不調である。」というわけではありません。ご注意ください。

では、また次回のブログでお会いしましょう~。さよなら~。

<参考文献>

知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first03_1.html

障害者雇用支援サービスサイトhttps://company.fvp.co.jp/faq/seishin_taichou/

メンタルカウンセリングweb
https://mental-web.net/2016/06/27/%E7%B5%B1%E5%90%88%E5%A4%B1%E8%AA%BF%E7%97%87%E3%81%AE%E5%86%8D%E7%99%BA%E3%81%AE%E5%89%8D%E5%85%86%E3%82%84%E5%85%86%E5%80%99%E3%80%81%E3%81%8D%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%84%E3%82%B5%E3%82%A4/

NHK健康ch
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_203.html#theme5

Fujimoto Medical System
http://www.fujimoto.or.jp/home-medicine/phychiatry/p_3/index.php#entry_1_3