精神障害を抱えながら旅行にいくなら船旅はどうでしょう?

精神障害があると、したくてもできないことが沢山あります。対人関係がうまく行かなかったり、仕事が続けられなかったり、あるいは今まで楽しめたことが楽しめなくなることもあるでしょう。

自分の思い通りにならないことはつらいものですが、どのような項目が対象となるのか、実際に調査したデータがあります。

東京都の「障害者の生活実態」調査

平成25年の東京都の「障害者の生活実態」調査によると、精神障害者が障害のためにあきらめたり妥協したことは総合で『就職』が最も高く39.7%、次いで『旅行や遠距離の外出』が38.7%と続きます。3位が『人付き合い』の32.2%、4位が『結婚』で26.1%でした。

病態別では、例えば、『そううつ病、うつ病』では『旅行や遠距離の外出』が42.9%、『就職』41.9%、3位が『人付き合い』34.8%、4位が『スポーツ・文化活動』26.2%。『統合失調症』では『就職』41.5%、『旅行や遠距離の外出』36.4%、3位が『人付き合い』30.9%、4位が『結婚』29.2%となっています。

今回は、総合2位の項目である、『旅行や遠距離の外出』について考えてみたいと思います。

精神障害者が旅行する時に問題になること

症状がひどい時は完全にあきらめざるを得ない『旅行や遠距離の外出』であっても、落ち着いてきて体調も良くなってきたら、どこかへ出かけてみたいなんて思うこともあるのではないでしょうか。もともと旅行好きなら、なおのことですよね。

精神障害者が遠出を考えた時に、最初に問題になりそうなのは、乗り継ぎに気を使うことや、移動中の疲労ではないでしょうか。せっかく気分を変えようと出掛けて、体調が悪化しては何もなりません。常に時間を気にしながら列車に揺られて疲労困憊しては何にもなりません。

旅行をする際は主治医に相談してみましょう

旅行にいくことが決まったら、まずは主治医に相談してみましょう。自分の身体は自分自身が一番わかっていると思いますが、客観的に診てもらう必要もあります。

自分で旅行にいけそう!と思っても、途中で体調が悪くなることもあるでしょう。ですので、旅行に行くときは旅行計画を主治医に見せて、いけるかどうか相談することも大事です。同行者がいるかいないかも重要ですね。

船旅ならストレスが小さく障害者割引でお得に

船旅は一旦乗ってしまえば、そのまま目的地まで運んでくれるので乗り継ぎを気にする必要はありません。体調がすぐれなくても船室で横になっていられるのも船旅ならではの特長ですね。

また、船によっては医務室がある場合もあるので、気持ちも楽になります。

東京なら伊豆諸島がおすすめ

おすすめの航路としては、例えば、関東方面からだと伊豆諸島が最初に思い浮かびます。

東海汽船の航路があり、例えば東京竹芝客船ターミナルから乗ったとして大型客船で、

大島だと最短6時間(高速ジェット船で最短1時間45分)
利島で7時間35分(高速ジェット船で最短2時間25分)
新島で8時間30分(高速ジェット船で最短2時間20分)
式根島9時間(高速ジェット船で最短2時間20分)

ほどで到着します。

他にも、久里浜や熱海、伊東、下田からの航路もあります。

もし障害者手帳(身体、知的、精神とも・全等級)をお持ちなら、本人と介護者1名の料金が半額になります(H30.7.15日現在)。
※障害の種別、等級により介護人または付添人が必要となる場合があります。詳しくは東海汽船にご照会下さい。

東京から大型客船の2等で大島までだと片道5,560円、利島で6,190円、新島で7,480円、式根島で7,480円かかります。半額割引だと往復でこの値段となりますから、かなり手も届きやすいのではないでしょうか。

出発地 行き先 所要時間(最短) 料金(2等/片道)
東京・竹芝旅客ターミナル 大島 6時間 5560円
利島 7時間35分 6190円
新島 8時間30分 7480円
式根島 9時間 7480円
神津島 9時間55分 7930円
三宅島 6時間30分 8350円
御蔵島 7時間25分 9380円
八丈島 10時間20分 10480円

船室は2等で和室なら絨毯の大部屋になりますが、指定席方式になっており、自分が横になる位のスペースは予め確保できます。混雑時期は直前になると指定が取れない可能性もあるので、早めに予約すると良いですね。

目的地に着いたら、のんびり過ごそう

島に到着したら、のんびりと過ごします。ハイキングやサイクリングに出かけても良いし、温泉にゆったり浸かるだけでも十分楽しめます。

大島であれば、三原山で1時間程度のハイキングコースを散策したあと、日帰り温泉に浸かって疲れを落とすと良いですね。ハイキングコースはいくつも用意されているので、体調に合わせて楽しめます。レンタサイクルも整備されているので、自転車を借りて1日かけて、島をゆっくり一周することもできます。

三原山を取り囲むように走る大島一周道路は約43㎞ありますが、アップダウンもあるので、体力に合わせて場所や距離を調整すれば良いでしょう。大島は、さほど自動車も多くありません。浜風にあたりながら時折三原山を眺め、海岸線を走っていると気分は爽快ですね。

関西の場合

もし関西にお住まいなら、大阪・神戸から九州、四国、小豆島方面行きのフェリーが就航しています。

大阪南港からだと、福岡、大分、鹿児島、愛媛行き、泉大津港から福岡行きが、神戸からだと、大分、福岡、愛媛、高松、小豆島行き等が出ています。

大阪南港から新門司港まで名門大洋フェリーを使ったとしましょう。料金は2等で片道6,480円(通常期間)、6,790円(繁忙期間)となり、精神障害者手帳をお持ちなら5割引となります。つまり往復で6,480円ということになりますが、新幹線を使って大阪から門司まで行くと、片道13,620円かかることを考えるとかなりお安いですね。
※H30.7.15日現在。詳しくは名門大洋フェリーまでご照会下さい。

到着まで12時間半もかかる長旅ですが、船旅そのものを楽しむつもりなら、長い時間も気になりません。のんびりとお気に入りの本を読んだり、音楽を聴いたり、船についているお風呂に入ることもできます。お天気が良ければデッキに上がって、陽光を浴びて海風にあたるのも気持ちが良いです。

新門司港に着いたらJR門司駅行きと、JR小倉駅行きの無料送迎バスが待っています。門司駅周辺の『九州鉄道記念館』には、昔懐かしい列車が展示してあり、鉄道マニアでなくても楽しめると人気です。門司港周辺は遊歩道や展望台がいくつもあり、散策するには最適です。夜になって、照明に美しく照らし出された関門橋を眺めていると、時間を忘れてしまいます。

以上、船旅について見てきましたが、その魅力は一旦乗ってしまえば目的地まで運んでくれて乗り換えが無いこと、船内も広くゆったりとしていて自由に移動でき横になれること、割引も使えばかなり安価に利用できること等でしたね。一方で、移動時間は飛行機や電車に比べるとかなり長くなりますが、船旅そのものを楽しむ積りなら問題ありません。目的地についたらゆったり散策を楽しむなりお湯に浸かって普段の疲れを癒すのです。

遠出を考えるなら、船旅も是非選択肢の中に入れてみましょう。

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