自律神経失調症とうつ病の違いは?併発はよくある?

気分がうっとうしい、イライラする、よく眠れない、体が気だるい・・・。こんな症状がでてくると、ある人は「うつ病かな」と思い、ある人は、「自律神経失調症かな」と思い込んだりします。

ところが、専門医に診てもらうと、うつ病が、実は自律神経失調症、自律神経失調症がうつ病だった、ということは珍しくありません。このように、自律神経失調症とうつ病は症状的にはよく似ています。

ところが、この二つは全く違うカテゴリーの疾患です。では、どこが違うのでしょうか。この違いがわからずに勝手に思い込んでいると、治るものが治らずに悪化するという結果につながりかねません。自律神経失調症とうつ病の違いをしっかりと押さえておくことが重要です。

自律神経失調症とは?

自律神経失調症とは、自律神経がストレスによって正常に機能しないことによって起こるさまざまな症状の総称です。では、自律神経とはどんな働きを担っている神経でしょうか。まず、自律神経の基本から説明していきましょう。

「自律神経」とは

私たちの人体に張り巡らされている神経は脳、脊髄の「中枢神経」と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられ、末梢神経は、体性神経と自律神経に分けられます。

体性神経というのは、意思によって体の各部を動かす神経、意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整するのが自律神経です。夏の日差しを避けようとして手をかざす動きをするのが体性神経、汗がでてくるのは自律神経の働きによるものです。

自律神経は、さらに交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経は、体を活発に動かすときに働き、副交感神経は、体を休めるときに働きます。交感神経をアクセルに例えるならば、副交感神経はブレーキの役割を担った神経です。

通常では、この二つの神経がバランスをとりながら体の状態を調節していますが、強いストレスなどを受けるとこのバランスが崩れることがあります。この二つの神経のアンバランス状態によってあらわれてくる様々な症状が、自律神経失調症とよばれる症状群です。

なぜ「失調」するのか

では、自律神経のバランスは、何を起因として崩れていくのでしょうか。不規則な生活をしていると、体の調子が狂ってきて、全身が気だるい感じになることは、体験的にご存知のはずです。これは、一種の自律神経失調状態です。

強いストレスにさらされるのも自律神経失調の大きな要因です。このほか、気温の変化で失調することもあります。一体に、交感神経は冬に活躍し、副交感神経は夏に活躍しやすいと言われていますが、アクセルとブレーキがギアチェンジする季節の変わり目に自律神経が乱れるケースも少なくありません。

あらわれる症状

自律神経失調症の症状は、数えきれないくらいある、といわれるほどです。めまい、全身倦怠、頭痛、手足の痛み、動悸、息切れ、不眠、食欲不振などなどの身体的症状のほかに、精神的症状もあらわれてきます。

主な精神的症状をあげてみましょう。

・怒りっぽくなる。
・すぐに悲しくなる。
・不安になる。
・気分が落ち込む。
・やる気がでない。
・自己嫌悪に陥る。
・変にハイテンションになる。
・物事に集中できない。
・物忘れがひどくなり、記憶力が低下する。

自律神経失調症のもう一つの特徴は、同時にいくつもの症状があらわれ、時間とともに症状が変わってくることです。頭痛やめまいに悩まされていて、症状がおさまったと思ったら、じんましんがでてきたといった具合です。

治療方法

ストレスが原因である場合は、そのストレスを軽減するための方策をとることです。運動をしたり、友だちとお酒を飲んでストレスを発散させるのも広い意味での治療です。

ホルモン剤などによる対症療法や睡眠の周期を整える行動療法などがありますが、ストレス対策と規則正しい食事と睡眠をとって、不規則な生活を改善することが、最も効果のある治療法です。

「自律神経失調症」は病気というより症状

先に列記した自律神経失調症の精神的症状をみて、「これって、うつ病とそっくりじゃないか」と呟かれた人もいるのではないでしょうか。

その通りです。自律神経失調症とうつ病は、一卵性双生児のように瓜二つです。しかし、失調症の症状に「精神症状」ではなく「精神的症状」と「的」をつけたことに注意してください。

うつ病は、精神の病気です。自律神経失調症は、病気というより、精神疾患の症状によく似た「症状」です。広い意味では、「病気」といってもいいのですが、違いを鮮明にするためにここでは、自律神経失調症は「症状」であるとします。

うつ病という病気

日本人のうつ病患者数は、近年、著しい増加の傾向にあります。中でも女性や中高年の割合が高く、うつ病は一つの社会問題となってきています。

以下、うつ病の簡単な概略を説明します。

原因は脳の神経細胞の情報伝達がうまくいかないこと

うつ病の原因は、現在、すべてが解明されているわけではありませんが、最近の研究では、ストレスによって、脳内の神経細胞の情報伝達にトラブルが生じているという説が有力になってきています。つまり、脳内の神経伝達物質の分泌異常による脳の病気です。

症状は多岐にわたる

憂うつで気分が落ち込む、すべてがむなしく思えてきて何となく悲しくなる、やる気がなくなって、全身がけだるいなどの抑うつ状態が長期にわたって続くのがうつ病です。

こうした精神症状のほかに、食欲不振、睡眠障害、頭痛、倦怠感などの身体的な症状もあらわれます。脳の機能障害によって発症していますから、脳がうまく働かず、考えることが出来なくなり、ものの見方が否定的にり、あるいは自分を責める自責念慮とか、自殺を考える希死念慮といった症状もでてきます。

治療は休息、投薬、精神療法

うつ病は、多くの場合、ストレスが引き金となって発症します。ですから、うつ病の治療では、まず、ストレス環境から離れて、休養をとることが優先されます。

同時に、抗うつ薬などを投薬する薬物療法と精神療法などが行われます。精神療法というのは、カウンセリングなどを通して過度のマイナス思考を改善する療法です。

うつ病と自律神経失調症の比較

うつ病と自律神経失調症の似ている点が二つあります。一つは、症状が似ていることです。

一つは、多くの場合ストレスが引き金になって発症するということです。しかし、うつ病と自律神経失調症は、全く異なるタイプの病気/症状です。

そのため、自分勝手に自律神経失調症をうつ病と思い込んだり、あるいはその逆であったりという誤認のケースが少なくありません。

自律神経失調症とうつ病との違いとは?

自律神経失調症とは、ストレスなどが原因で、自律神経のバランスが崩れたことによってあらわれる症状です。

うつ病はストレスが原因で、脳内の神経伝達物質の分泌異常によってあらわれる脳の病気です。自律神経の異常と脳の異常。症状は似ていても全く異なる病気/症状です。

うつ病は心の病気、いわゆる精神障害です。自律神経失調症は、身体と精神面にあらわれる様々な症状です。

正しい診断を

体のあらゆる箇所に不調が現われるのが自律神経失調症です。精神的な面にも症状が現われやすく、その症状が似ているところからうつ病と間違われる少なくありません。

うつ病は、心と体のどちらも活動力が低下するのが特徴です。自律神経失調症は、自律神経が乱れ、交感神経が優位になった状態であらわれる症状です

どこかおかしい、と思ったら、専門医にしっかりと診察してもらうことをお勧めします。。

身体症状ばかり目立つ「仮面うつ病」もある

疲れやすい、よく眠れない、頭痛がする、肩こりがなおらない、食欲がなくなった、といった身体症状があるものの、不安やイライラなどの精神的症状はみられない場合、うつ病ではない、と思い込みがちです。

それはそれで正しい判断ですが、100%正しいと言えないケースもあります。というのは、うつ病の中には「仮面うつ病」というのがあるからです。

仮面をかぶったうつ病と言う意味ではなく、身体的な症状という仮面によって、うつ病本来の精神症状が見えにくくなっているうつ病です。

たとえば、心臓がキリキリ痛むという身体的症状(仮面)があるため、てっきり仮面の方の病気だと思い込んで、身体科の医療機関に出かける。でも、一向に症状が改善しない。そこで、改めて精密検査をしたら、実はうつ病だったということになるのが、仮面うつ病です。

この場合、本質は「うつ病」ですから、仮面を捨てて、一日も早くうつ病の治療をスタートさせなければなりません。

自律神経失調症がうつ病を誘発することがある

たびたび触れてきたように、自律神経失調症とうつ病は、発症の部位と仕組みが異なります。ところが、自律神経失調症が悪化すると、うつ病に移行するケースもみられます。

自律神経失調症は、交感神経が過剰に働いているので、体は疲れていて症状がでていても「がんばればできる」といった状態です。

副交感神経が働かないので、アクセルを踏み続けるわけです。しかし、いずれ、ガス欠状態になります。エネルギーが尽きたときが、うつ病です。

どちらもストレスケア、早期対応が重要

自律神経失調症もうつ病も引き金になるのは、ストレスです。自律神経失調症は、病気というより症状である、と述べてきましたが、悪化するとうつ病という病気に移行する可能性があります。

心当たりの症状を自覚したら、早期に医療機関に足を運び、「病気」か「症状」かを見極めた上で、適切な治療に取り組むことが重要です。

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