電気けいれん療法とは?東京で受けられる病院を紹介


目次

電気けいれん療法とは?

サイマトロン

頭部に通電することで、人為的に痙攣発作を誘発して、精神症状を改善させる治療方法をいいます。ECTには大きく分けて2種類あり、有痙攣ECTと無痙攣ECT(修正型ECT)があります。現在主流なのは、無痙攣型のECTで、m-ECTと略されて呼ばれることが多いです。

ECTの成り立ち

昔の精神科医は、統合失調症の患者さんはてんかんを合併しないと考え、痙攣発作が統合失調症を改善するのでは?という仮説が生まれました。そこで、人工的に痙攣発作を起こせるようになれば治療になるのでは?と発展していったと言われています。そして事実痙攣発作で治療効果は生まれていたそうです。

昔のECTの問題

人工的に痙攣発作を起こせるようになり、確かに治療効果も出ていましたが、当時のECTは苦痛が強いことが欠点でした。変圧しただけの電気(シータ派)を送るだけでしたので、副作用も多かったのです。また全身で痙攣を起こすことで、骨折などの肉体的な影響も大きかったのです。

それらが改善されたm-ECT

それらの問題点が改善されたものが、現在行われているm-ECTという治療になります。これは麻酔技術など薬剤の進歩により、全身麻酔下で行えるようになり、眠っている間に終わります。麻酔も数分で終わるものです。けいれんが終わったらすぐに麻酔から覚める薬を投与するので、すぐ起きます。また筋弛緩薬という薬を投与するので、全身の筋肉を弛緩されます。そうすると痙攣は筋肉の緊張なので、痙攣が頭の中だけで起こるような状態を作り出すことができ、より安全に痙攣発作を起こすことができるようになりました。

m-ECTの適応疾患は?

誰でもできる治療ではありません。以下が適応疾患になります。

気分障害
・大うつ病 ・双極性障害(躁鬱病) ・重度の精神運動抑制
・強い焦燥や不安感 ・強い希死念慮 ・精神運動興奮

統合失調症
・緊張病 ・昏迷状態 ・強い希死念慮

統合失調感情障害
・精神運動興奮、あるいは抑制など上記の気分障害と統合失調症の適応を合わせた状態

その他
・悪性症候群 ・パーキンソン症候群 ・全身疾患に伴う急性精神病状態

状況からも判断される

では、適応疾患ならだれでもECT治療をするのかというと、そうではありません。状況からも、実施すべきか判断されます。以下が状況から判断する項目になります。

病状から医師が勧める場合 
患者が希望する場合
精神疾患として適応であるか吟味
薬物療法の余地が本当にないのか
ECTにより精神症状が悪化しないか

これらを総合的にとらえて、はじめて実施という形になります。

m-ECTの副作用は?

ECTの副作用は大きく2通りのものがあります。ECTそのものによる副作用と、ECT施行時に使用する全身麻酔による副作用です。

ECTによる重大な副作用

ECTに伴う死亡や、重度の障害の発生は5~10万回に1回程度と言われています。つまりECTそのものによる重大な副作用の発生リスクはそこまで大きくないということになります。この確率は、全身麻酔による事故よりも少ないと言われています。

ECTによる副作用の多くは、心血管系の合併症によるものですが、ECT実施前に術前検査をします。心血管系に異常がある場合はECTを導入できないということもあります。こうした形で、重大な副作用の発生を予防しています。

ECTによる軽症な副作用

頭痛や筋肉痛が起こる場合があります。これは比較的起きやすい副作用です。起きない人には起きませんが、起きる人には術前に鎮痛薬を投与するなどして対処していきます。

他には記憶障害が起こることがあります。重大な記憶を消失するわけではなく、日付や今朝食べた食事など軽微な記憶が消失することがあると言われています。これは持続するわけではなく、数日から数週間で自然と改善する副作用です。

全身麻酔による副作用

麻酔による影響で低血圧を起こすことがあります。しかし術中は医師複数名、看護師複数名で全身状態をモニタリングしながら実施しますので、すぐに対応することが可能です。

どうやって受けるのか

入院の場合

多くの医療機関は入院してm-ECTを受けるという流れになります。そのためm-ECT目的の入院となります。1クールないし2クールを受けて、退院という形になります。M-ECTは医療機関にもよりますが、最大週に3回施行する場合が多いです。患者さんの状態によっては、最大数施行するわけではなく、週に1回施行などもあり得ます。

外来の場合

外来でもm-ECT治療を実施している医療機関もあります。数は多くありませんが、在宅生活を続けながら受けられるというのは、大きなメリットがありますよね。場合によっては入院生活がストレスになってしまうこともありますから。また、最大のメリットは外来治療であれば、自立支援医療の適応になるということです。m-ECTは1回1万円前後と高額な分類の治療になりますので自立支援医療の適応になるのは嬉しいですよね。デメリットとしては、週に3回病院に通わなくてはいけないということです。近隣の医療機関ならまだいいですが、医療機関まで距離がある場合は、通院するだけで大変です。

都内で外来m-ECTを受けられる医療機関は?

国立精神・神経医療研究センター

〒187-8551
東京都小平市小川東町4-1-1

東京都小平市に位置し、最寄り駅の萩山駅、新小平駅から徒歩10分程度です。
アクセスは西武新宿線、中央線、武蔵野線です。
西東京なので距離はありますが、23区内でも西側に住んでいる方であれば通えない距離ではないですね。

成仁病院

〒121-0815
東京都足立区島根3-2-1

東京都足立区に位置し、最寄り駅の西新井駅から徒歩7分程度です。
アクセスは日比谷線・半蔵門線直通の東武スカイツリーラインと、比較的都心からもアクセスしやすい場所に位置しています。

ざっと検索したところ、都内でm-ECTの外来治療を実施している医療機関は2か所だけでした。多くの医療機関は入院でのECTを実施しているようです。