放課後等デイサービスの特徴と選び方


目次

放課後等デイサービス(放デイ)とは何か

 放課後等デイサービス(略して「放デイ」)とは、障害のある学齢期児童を対象に、放課後、あるいは休日に行われている学童保育サービスです。
かつては、障害福祉法を根拠に障害別に分かれていましたが、法改正により身体・発達・精神などの種類にかかわりなく障害児が利用できるようになりました。

対象となるのは障害のある就学児童

 デイサービスは、障害のある6歳から18歳までの就学児童(小学生・中学生・高校生)を対象に、学校の授業終了後や長期休暇中に実施されます。
対象となる障害は、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、または精神に障害のある児童(発達障害児を含む)です。

 また、障害者児童に支給される療育手帳がなくても、児童相談所、市町村保健センター、医師等の判断で、療育の必要性が認められた児童も対象になります。

不登校児童も利用できる

 障害を持つことで不当ないじめに合うケースが少なくありません。その結果、不登校になった児童は、もちろん利用できます。むしろそういう児童こそ受けるべきサービスでもあります。放課後等デイサービスの目的の一つは、子どもの居場所を確保するということですから。

 では、障害は無いのに不登校になったケースではどうでしょうか。福祉サービスとして利用をしたい場合には受給者証が必要なため、利用基準を満たさず受給者証が発行されない場合には、福祉サービスとしての利用はできません。

 ですが障害は無いと思っていても、発達の問題が背景にある場合があります。実際、普通級に通う一見問題の無い子どもも放課後等デイサービスの利用をしています。市区町村の福祉担当窓口や障害児相談支援事業所で相談をしてみると福祉サービスとして利用できる可能性があります。

 福祉サービスとして利用できない場合、受け入れを行うかどうかは施設の判断です。利用料金は全額自費となります。
 放課後等デイサービスは障害児を対象としたサービスなので、他の選択肢も考えた方が良いでしょう。フリースクールを併設している放課後等デイサービスもあります。

利用するための手続き

 このサービスを利用するためには、市区町村の窓口で発行される障害児通所支援の「受給者証」が必要です。受給証が発行されると、障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費が支給されます。実際には、放課後デイサービスに通所する際の費用が市区町村から代弁されます。

 ただし、受給者証に書かれた日数分(支給量)しか利用することはできません。例えば、支給量が「20日/月」と書かれていれば、月に最大で20日までの利用ということになります。

利用料金は

 放課後等デイサービスは、自治体が9割を負担し(代弁)、利用者は1割の自己負担となっています。1回あたりの料金は、700円~1200円程度になります。また、事業所によっては、おやつ代を徴収しているところもあり、100円程度の追加でかかる場所もあります。自己負担額の上限

 自己負担額は、下記のように世帯所得に応じて、その上限額が定められています。ちなみに、この上限額にはおやつ代は含まれません。

区分 月額上限
生活保護・非課税世帯 0円
世帯所得900万円以下 (所得割28万円未満) 4600円まで
世帯所得900万円以上 37200円まで

放課後等デイサービス (放デイ) のプログラム

 受給証が発行されると、放課後デイサービスを運営している事業所(施設)と契約して、子どもを通わせることになります。
事業所の数は、厚労省の調査では、2016年現在8352カ所に達しています。
運営しているのは営利法人のほかNPOなどの非営利法人です。

利用できるのは何時から?

 平日は、学校の授業が終わったあと、14時から15時に始まります。多くの施設では、家から施設まで送迎してくれます。
施設に到着後、自由に時間を過ごしたり、個人の宿題や造形をしたり、集団で運動をおこなったり、公園へ出かけたりと様々です。

 また、土曜日、日曜日を使って工場見学に行ったり、動物園などに行く施設もあります。

参考までに、平均的な施設の時間割を掲げておきます。

時間平日休日
9:00~ 送迎/来所
10:00~ 宿題・SST・創作・生活スキルトレーニング
12:00~ 昼食
13:00~ 集団プログラム(運動・掃除・ダンス)
14:00~送迎
15:00~遊び・宿題・運動等のプログラムおやつ
16:00~おやつ自由遊び
16:30~帰りの準備帰りの準備
17:00~送迎・帰宅送迎・帰宅

デイサービスの内容

 基本的に発達障害や知的障害など、障害を持った児童が成長する上で不可欠な基礎知識や社会性などを修得させる内容(目標)のサービスが実施されています。

 そして、この目的を達成するために様々なプログラムが用意されています。

<放課後デイサービスの内容>

●生活技術の向上と学習能力の向上
●感情理解、自己コントロール、自己表現の獲得
●計画性の獲得
●ルール、マナーの獲得
●道徳心や共感の獲得
●対人調整力や協調性の獲得
●社会活動力の獲得
●お金の計算や時計の理解などの獲得
●発声、発語の向上
●物事の対処能力の向上と因果関係の習得

 放課後デイサービスは、上記の目標を達成するためのプログラムが用意されていますが、すべてを万遍なく支援するのではなく、それぞれの施設ごとに重点目標をしぼり、特色を打ち出しています。

 大きく分けると以下のような3つのタイプに分類することができます。

施設選択の際に参考にしてください。

学習保育タイプ・自由な時間が多いのが特徴的。
・宿題をする時間のほかは、おやつ、掃除、みんなでできるゲームなどをして過ごすことが多い。
・のびのびとした時と場所を与えてあげたいという場合におすすめ。
療育タイプ・障害児のための専門資格をもった作業療法士などによる療育が組み込まれた施設。
・特に子どものコミュニケーション能力や社会性の向上に力をいれている施設。
・具体的には、発音の訓練、姿勢の調整、基本的な鉛筆の握り方など一人ひとりに合わせた内容が組まれている施設。
・ただし、この施設は人気が高いので、早い段階で仮予約を済ませておく必要がある。
習い事タイプ・体操、音楽、絵画、ダンス、英会話や習字、などの様々ななどの習い事のプログラム用意された施設。
・パソコンの使用などの指導もあり。

デイサービス施設の選び方

 どの施設に子どもを通わせるかの選択をする場合、住まいの近くにある施設から絞り込むのがいいでしょう。遠くの施設だと、送迎の対応をしてもらえない可能性もあります。

 また、事前に施設を見学し、運営の実態を実地で確かめることをお勧めします。

以上の前提の立った上で、選択のポイントをあげておきます。

●どんなプログラムがあるのか。子の興味を引くようなものがあるのか。
●どんなプログラムに力を入れている施設なのか。
●安全面への配慮はどうなのか。

事例紹介(実際のプログラム)

 放課後デイサービス施設のイメージをつかむために、いくつかの施設の運営の事例を参考までに簡単に紹介しておきます。

ラルゴKids

 主に発達障害児を対象として、子どもたちの発達段階や年齢に合わせて、運動療育をメインにしたプログラムが実施されています。

運動プログラムの中心となるのは、以下のようなプログラムです。

●バルシューレ(ドイツで生まれた幼児教育スポーツ)
●ビジョントレーニング
●姿勢補助トレーニング
●微細粗大運動

<URL:https://largokids.jp/

こどもラボ

 こどもラボは、ADHDなどの発達障害児を受け入れています。
プログラムは以下の5つのトレーニングで構成されています。

●心を育むヨガ
●創造・想像力を育むアート
●身体を育む運動
●考える力を育む頭脳遊び
●生きる力を育む体験活動

<URL:https://www.kodomolab.net/

つむぐ

 「やってみよう!」「できた!」の気持ちを育てる、というのが、つむぐのモットーです。

 同時に、子どもたちに安心と楽しみの場所を提供し、日々出来ることを増やしていき、自己肯定感を得られるようになることを目指しています。

<URL:https://tumugu3189.jimdo.com/

わくわくエジソン

 数々の発明で知られるエジソンは、アスペルガー症候群だったため、小学校を退学させられました。しかし、母親はエジソンの可能性を信じて家庭教育を続けてその才能を開花させました。

 このエジソンにちなんでつけられたネーミングからもわかるように、プログラムのポイントは、子どもの脳機能を高め、基礎学力の向上と得意分野への特化を目指した療育や学習支援を行っています。

<URL:https://www.wacwac-edison.com/

TEENS

 発達障害児の「学習支援」に力をいれている事業所です。
学習を通じて発達障害のある小中高生の「質問・相談力」、「計画性」、「自己肯定感」を育んでいきます。

 ユニークなのは、自主学習するエリアを「ホール」、スタッフから解説を受けるエリアを「キッチン」と呼び、空間を分けることでそれぞれの場所での活動目的を明確にしています。

<URL:https://www.teensmoon.com/

りたりこジュニア

 発達障害児を対象にした学習支援に力をいれていますが、サポートの柱は、<ソーシャルスキル>と<学習能力>のアップです。

 ソーシャルスキルの向上では、セルフコントロール、コミュニケーションスキル、金銭や時間管理をはじめとする基本的な生活スキル・社会性が身につくことを目指しています。学習では、言葉や数の概念、読み、書き、計算、授業の予習・復習などを行います。

 「利用者8000名以上、全国に90教室」という指導実績で培ったノウハウをもとに、発達障害児支援の専門家や大学教授の監修による教材やプログラムをもっているのが特色です。