朝だけ下痢・腹痛に襲われる…原因は過敏性腸症候群(IBS)?


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朝だけ下痢に襲われるという人がいます。すぐに思いつくのが過敏性腸症候群ですが、そうだと決めつけるのも危険です。

そこで、まず下痢の原因から考えていきましょう。

目次

朝だけの下痢、腹痛の原因

腹部に痛みを感じ、水っぽい便がでる―。これが下痢ですが、下痢は大腸の働きと密接に関係しています。

腸の動きが活発になりすぎることで下痢、腹痛になる

食べ物は、胃で消化・吸収され、残った内容物は小腸に運ばれます。小腸でも、胃から運ばれた内容物の消化や吸収が行われますが、この時、小腸で吸収されずに残った内容物が大腸へと運ばれます。

大腸では、小腸から運ばれた内容物の水分吸収が行われ、徐々に内容物が硬くなって大便になります。最も腸の働きの良い状態だと、便は程よく水分を取られ、いわゆるバナナ型の便として出てくるのですが、腸の動きが遅く、水分が吸収されきってしまうと硬い便や便秘になります。

逆に腸の動きが早すぎると、腸で水分が吸収される時間がなく、液状のままの便、下痢になるわけです。

腸の水分吸収能力の低下

いずれにしろ、腸の働きが活発になり過ぎた結果、水分の吸収が不十分で下痢になりますが、このほか、腸から分泌される粘液が多くなりすぎたり、腸の粘膜の水分吸収能力が低下すると下痢になります。

腸のバランスが崩れる原因

下痢の原因はいろいろとあります。食あたり・食中毒によるもの、ノンシュガー食品などで砂糖の代わりに使用されている甘味剤によるもの、生理に伴うものなどがそれです。

しかし、朝になると決まって起きる下痢に絞っていえば、ストレスによるもの、暴飲・暴食によるものが考えられます。ストレスによるもものが、このところ増えている過敏性大腸症候群です。

過敏性腸症候群で腸の動きに異常がでる

ストレスが原因で、大腸の運動および分泌機能の異常が起こるのが過敏性腸症候群(IBS)です。過敏性腸症候群は、症状によって便秘型、慢性下痢型、混合型、分離不能型の4つのタイプがありますが、今回のテーマに該当するのは、下痢型の過敏性腸症候群です。

脳がストレスを受けると、そのストレスが胃、腸に伝達され、異常を引き起こし、腹痛や便通異常が発生します。逆に下痢や便秘などの腸の不調も、自律神経を介して脳にストレスを与えます。

下痢型では、自律神経の乱れによって腸の働きが活発化しすぎるために発症します。ちなみに、便秘はこの逆で、腸の働きが鈍って、硬い便の便秘となります。

朝の電車などで発症しやすい

下痢型IBSの辛いところは、しばしば、通勤や通学の電車の中、つまり、トイレに行きたくても行けないような不安な場所で起こることです。

そのことを意識すると、その緊張から余計にお腹が痛くなってきて、便意を催してきます。そして、漏れてしまったような辛い体験をすると、それがトラウマになり、症状が悪化します。

これらのプロセスは、IBSが、ストレスと不安という精神的なものと深くかかわっていることを示すものです。

暴飲暴食と冷えによる朝下痢

大量の飲酒は、水分の取りすぎを招きがちです。また、アルコールによって超粘膜が荒らされます。その結果、大半は飲酒の翌朝に下痢になるケースが少なくありません。

また、お腹の「冷え」による朝下痢もあります。冷えると、腸が異常収縮して水分が十分に吸収されずに輩出されるため下痢になります。

朝の下痢、腹痛の対策方法

まず過敏性腸症候群以外のごく常識的な朝下痢の対策を紹介します。

前日の食事に気を付ける、おなかを冷やさない

暴飲暴食を避け、お腹を冷やさないように睡眠するすること。また、前の晩の食事の内容も影響しますから、朝、下痢になりやすい人は、なるべく刺激の強い者は避けるようにしましょう。

そもそもの過敏性腸症候群の対策法とは?

過敏性腸症候群の原因は、ストレスです。ですから、日ごろからストレス・ケアを行うことが重要です。

そのためには、生活習慣と食生活について、見直してみることも欠かせません。

日頃のストレスを減らす

ストレスを上手に処理するために、自分なりのストレス発散の手立てを用意しておくことです。

週末には、気心の通じる友だちとの飲み会(ストレス発散会)をするとか、泣けそうな映画を観て思い切り涙を流すとか、スポーツ観戦にでかけるとか、人それぞれのストレス発散の手法を身に付けることをお勧めします。

健康的な生活を心がける

健康な生活とは、どんな生活なのでしょうか。考えてみると、私たちは、知らず知らずに不健康な生活に慣れきっていることに気づかされるものです。

健康な生活とは、具体的には次のようなことです。早寝早起きは無理としても、今より1時間早く寝て、1時間早く起きる。暴飲暴食を避ける。決まった時間に食事をする。休みの日には、なまった体に活を入れるための運動をする。この中の一つを地道に実行するようになると、他のこともおのずから整ってくるものです。

食事に気をつかう

アルコール、コーヒー、辛い物など刺激の強い食品や消化の悪い食品を避けることは言うまでもないことです。腸内の老廃物を体外に排出してくれる食物繊維を含んだ食品を摂るようにしましょう。

ただし、食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がありますが、植物繊維なら何でも良いというわけではなく、偏らず、バランスを考えてとるようにしてください。

ちなみに、不溶性食物繊維は、ごぼう、ブロッコリー、さつまいも、いんげん豆、大豆などなど、水溶性食物繊維は、わかめ、昆布、しいたけ、りんご、バナナなどです。このほか、腸の粘膜を強くする乳酸菌、ビタミンA、ビタミンB2などを摂ることもポイントです。

下痢止めを飲む

水がなくても飲めるようなタイプの市販の下痢止めをいつも身に付けておくというのも対策の一つです。いつでも飲めるということで不安もいくらか薄らぎます。

しかし、下痢止めだけで根治することは不可能です。できれば医師の診断を受けたうえで、適切な治療を受けられることをおすすめします。

医療機関による治療も

下痢したというだけで医療機関にかかるのは何だか気がひけます。しかし、朝の下痢が続き、過敏性腸症候群ではないかと疑われるようならば、専門の医療機関で診断を受け、治療に取り組むべきです。

最近では、過敏性腸症候群に特化した薬なども開発されていますから、医療機関で手に入れて治療に取り組むようにしてください。


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