眠れないのはうつ病の兆候?不眠症の解決策とは?

なんとなく寝つきが悪い、夜中に起きてしまう、といった状態が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や意欲の低下などの不調がでてくるのが不眠症です。不眠症も厄介な問題ですが、注意しなければならないのは、不眠症の裏にはうつ病が潜んでいるということです。

今回のテーマは、不眠症とうつ病の密接な関係について説明します。

不眠症の原因

国民の5人に1人がかかっているといわれる不眠症は、近年、増え続けてきています。その症状と原因は様々です。まず、不眠症の症状と原因からみていきましょう。

睡眠時間が問題ではない

日本人の平均睡眠時間は7時間前後ですが、4時間眠れば十分だ、という人もいますし、10時間眠っても寝たりないという人もいます。つまり、不眠症と言うのは、睡眠時間が短いということではありません。

不眠状態が1ヶ月以上続き、日中に、だるい、食欲がないといった身体的不調や意欲の低下、集中力の低下がみられるようになったとき、不眠症と診断されます。

症状は大きく分けて4種類

不眠症は、以下にあげるように4つのタイプに分けられますが、複数の症状がダブってあらわれることもあります。不眠が続くと、眠らなければいけないという緊張や睡眠時間に対するこだわりが生まれます。ある種の不眠恐怖が生じて、ますます不眠が悪化するという悪循環が生じます。

思い切って専門医に相談するのが、不眠退治の早道です。睡眠薬に対して拒否反応をしめす人もいますが、現在使われている睡眠薬は、適切に使用すれば安全です。

入眠障害:なかなか寝付けず、寝るまで時間がかかる
中途覚醒:寝ても夜中に繰り返し目が覚める
早朝覚醒:予定していた起きる時間よりもずっとはやく目が覚める
熟眠障害:眠りが浅く、熟睡できない

不眠症の原因は多々ある

不眠症の原因は様々です。生活習慣の乱れが積もり積もって不眠症になることもあれば、ストレスが原因の場合もあります。身体的な病気の副次的な症状としてあらわれることもあれば、治療薬が原因となってあらわれることもあります。

注意すべきは、精神疾患が原因であるケースです。近年、うつ病が増えてきていますが、単なる不眠症だと思っていたら実はうつ病だったというケースが少なくありません。

特に「早朝覚醒」と「日内変動」の症状があらわれてくるようだったら要注意です。日内変動というのは、朝の目覚めは最低の気分で、午前中は頭が働かなかったのに、段々と回復してきて夕方や夜に限ると正常にもどるような気分の変動をさします。

この二つの兆候があったら、早めに専門医に診てもらうことをお勧めします。

生活習慣が原因

現代は、昼と夜の境目がなくなってきています。明るい日中に働き、暗くなったら家に帰り、夜も更けたら眠るという人間本来のパターンがくずれてきています。

24時間社会とも言われ、このシステムを維持するために、交代勤務で真夜中に働く人も増えてきています。このため人間本来の睡眠のリズムが乱れ、これが不眠症の急増の要因の一つだと考えられています。

このほか不規則な食事や運動不足など、不規則な生活習慣も無視できないところです。

身体疾患が原因

体に抱えた身体疾患が原因となることもあります。高血圧や心臓病による胸苦しさ、咳や発作の伴う呼吸器疾患、腎臓病や前立腺肥大による頻尿、関節リウマチの痛み、アレルギー疾患のかゆみなどで眠るに眠れなくなり、不眠が生じます。

このほか、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグスと呼ばれるムズムズ脚症候群などで睡眠が妨げられることもあります。身体疾患が原因の不眠症であれば、不眠の元となっている病気の治療が先決です。咳や痛みやかゆみなどの症状が取れれば不眠はおのずと消失します。

精神疾患が原因

うつ病、統合失調症などの精神疾患が不眠症につながっていることがあります。中でもうつ病の患者の9割が睡眠トラブルを抱えていると言われています。

実際、うつ病の診断基準の項目には、「睡眠障害」が挙げられています。不眠とうつ病は、表裏一体というような関係にあるのです。

不眠症とうつ病の関係

不眠症とうつ病が密接な関係にあることは既に述べてきた通りです。では、どこから密接な関係が生じるのでしょうか。もう少し詳しく不眠症とうつ病の関係をみてみましょう。

「憂うつになる」だけがうつ病ではない

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった憂うつ場気分が2週間以上続くと、うつ病の可能性があります。

うつ病は、心身のストレスが重なることで、脳に機能障害が起きていると考えられています。脳がうまく働かないので、モノの見方が悲観的になり、自責の念に囚われます。

症状が悪化すると、死にたいという思いがでてきます。うつ病は、憂うつな気分に支配されるばかりではなく、希死念慮と呼ばれる自殺願望が生じる怖い病気でもあります。

うつ病では基本的に不眠症状が出る

うつ病には様々な症状があらわれます。代表的な症状をピックアップしてみましょう。

1)憂うつで気分が重い(抑うつ気分)
2)何をしても楽しくない、何にも興味がわかない。
3)疲れているのに眠れない、一日中ねむい、いつもよりかなり早く目覚める。
4)イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない。
5)悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる。
6)思考力が落ちる
7)死にたくなる。

3番目にあげた「疲れているのに眠れない、一日中ねむい」という点に注目してください。うつ病の基本的な診断項目の一つに不眠症状が挙げられています。

不眠症は、うつ病と切っても切れない関係であるということがお分かりでしょう。不眠=うつ病ではないのですが、うつ病の可能性の高い症状です。

うつ病になるとなぜ不眠になるのか

うつ病は、心身のエネルギー全体が低下してしまう疾患です。そのために、食欲、性欲といった生理的欲求が低下します。

睡眠というのは、人間にとって食欲、性欲にならぶ基本的な欲求です。ですから、エネルギーの低下に伴い、睡眠にも大きなトラブルが発生するわけです。

うつ病は神経伝達物質であるセロトニンの低下が原因のひとつと考えられています。このセロトニンの低下が睡眠にも悪影響を及ぼしているのではないかとも考えられています。

うつ病の治療が不眠症の治療に

不眠の元がうつ病だったということが明らかになれば、まずうつ病を治療することです。臭いにおいは元から断つ、とCMがありましたが、元を断てば、不眠は改善します。

うつ病ではない不眠に関しては、後述しますが、うつ病の方にも参考になるはずです。

うつ病の治療とは?

休養、薬物療法、精神療法が、現在のうつ病治療の3本柱です。薬物療法では、抗うつ薬による治療が行われます。

セロトニンとノルアドレナリンに働きかけるSSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬)が代表的な治療薬です。

精神療法では、悲観的なものの見方(認知)を改善する認知行動療法、対人関係療法などがあります。

その他の不眠症の解決策

身体疾患に起因する不眠症の場合、その病気を治すことが不眠の改善につながります。うつ病が元で不眠症が出ている場合は、まず、うつ病の治療することです。

うつ病のような精神疾患の場合は、他の精神疾患を誘発するケースがありますから、早期に専門の医療機関で治療に取り組んでください。

では、うつ病ではない不眠症の場合はどうすればいいか。ここでは、日常生活の中で実行できるいくつかの不眠症の解決策を紹介します。

決まった時間に寝て、起きる

仕事を持っている人は、週末に夜更かしして、休日に朝寝坊しがちです。これは、ストレス発散にもなりますから、一概に悪いとはいえませんが、夜更かしが常態化すると人間の体内時計が狂ってきます。

ひいては、それが不眠へとつながります。そこで、毎日、寝る時間と起きる時間を決めて実行することをお勧めします。この場合、睡眠時間は、人それぞれで結構です。

睡眠時間にこだわる必要はありません。どうしても眠気がないときは思い切ってベッドから出てください。ベッドにいる時間が長すぎると、熟眠感が減ります。

また、日中に眠気があるときは午後3時前までに30分以内の昼寝をとると効果的です。

日光浴

太陽光など強い光を浴びると、14時間目以降に眠気が生じます。太陽光は体内時計を調節する働きがあるからです。

また、早朝に光を浴びると、夜に寝つく時間が早くなり、朝も早く起きられるようになります。早起きすることが、早寝に繋がるわけです。

適度の運動

運動をすると、気分が爽快になり、心地よい疲労感に襲われます。そのことによって、夜の睡眠が深くなるということは、私たちが経験で体感していることです。

運動では、筋力トレーニングなどの無酸素運動よりもエアロビクス、ウォーキングなど緩めの有酸素運動の方が効果的です。

不眠症専門の診療科もある

不眠症の専門のクリニックや不眠を対象とした専門の科をもつ病院があります。インターネットで検索した上で、どこが自分に最適か判断してください。

うつ病が疑われるようであれば、精神科のクリニックや病院になります。

早期に治療しないと様々な悪影響が

不眠と言うのは、病気というより症状です。しかし、たびたび触れてきたように、体の病気の症状であったり、心の病気の症状であったりします。

不眠症を軽く考えずに、専門の医療機関で、早期に不眠の元を診断してもらい、元を断つ治療に取り組むことが重要です。

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