片づけられないのは病気が原因?発達障害、うつ、統合失調症など、考えられる病気って?

友人や会社の同僚の家に遊びに行って、「片付けられていない部屋」に驚いたりすることがあります。でも、友人が「このところ忙しくってさ。ごめんね」といえば、「そうなんだ。大変だね」で驚きは片付いてしまいます。

また、性格的にズボラで、整理整頓が苦手の人もいて、そんな人の部屋に行くと、「あれあれ、相変わらずね」と軽く皮肉を言って話し込むことになります。

ところが、今まで整理整頓ができていたのに、いつ行ってもモノが片付けられていない部屋をみると、言葉にはださないものの、「ちょっとおかしいな」と思って、不吉な予感が背筋を走ることになります。

この不吉な予感は、的外れではないケースが多々あるのです。つまり、精神疾患が原因で、モノを片付けられない状態に追い込まれている人もいるということです。

では、その原因はどんな精神疾患に由来するのでしょうか。原因さえわかれば、対処の仕方もわかってきますし、なによりも疾患の早期発見につながることになります。

発達障害が原因

片付けられない精神疾患の一つとして考えられるのが発達障害です。近年、子供だけでなく大人にも発現するということで話題になっている障害ですが、これが原因になっている可能性があります。

発達障害とは

発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状があらわれ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。発達障害は、後天的な教育や環境の結果というよりも、生まれつきの特性ともいうべきものです。この結果、成長しても、普通の人に比べて、なんらかのことが不得手になったりします。

発達障害には、様々な障害が含まれていますが、よく知られているものとしては、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群、多動性症候群(ADHD)、学習障害などがあります。

この中で、片付けられない症状の原因ではないかと考えられているのが、ADHDです。ADHDとは、落ち着きのない動作をする症状です。子供を例にとると、座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずいつも活動する、しゃべりすぎる、順番を待つのが難しいなどなど症状があらわれます。

ADHDは、一般的には成長とともに軽くなる場合が多いのですが、半数は青年期まで不注意や衝動性の症状が続き、半数は成人期まで続くといわれています。

なぜ「片づけられない」に?

ADHDはまた、注意欠陥多動性障害とも呼ばれます。その名のとおり不注意や落ち着きのなさ、多動性、衝動性が特徴です。

このため、計画的に何かに取り組んだり、集中して一つのことを仕上げたりすることが出来なくなり、結果としてきれいに整理整頓することができず、部屋が片づけられない状態になってしまいます。

改善方法は

ADHDは厄介な症状で、治療で完治することはないのですが、症状の改善につながる薬物療法があります。また、自分が生活する環境を調整することで、症状に伴う不利益を減らすことができます。

片づけに関していえば、何をどこに片づけるかをわかりやすくしておいたり、分類をしっかりしたりするなど、片付けしやすい環境を作っておけば、いくらかの改善は期待できます。ひょっとしたらADHDなのかな、発達障害なのかな、と心当たりがあったら、まず、医療機関などに相談されることをお勧めします。

うつ病が原因

厚生労働省の統計(平成23年)によると、うつ病にかかっている患者さんは、ざっと100万人にのぼります。うつ病は、もっとも身近な精神疾患の一つですが、このうつ病が原因で、片付けられないような状態に陥っているケースが少なくありません。

うつ病とは

うつ病とは、憂うつな気分に落ち込み、食欲、性欲、意欲などが低下する精神疾患です。また不眠なども伴い、頭痛などの自覚症状を伴うこともあります。主な原因はストレスとされています。

なぜ「片づけられない」に?

うつ病の症状の特徴は、意欲や気力の著しい減衰です。症状の程度にもよりますが、重くなると何事もやる気がなくなり、仕事もできなくなります。

また、日常生活の中の入浴や歯磨きすらできなくなることもあります。入浴ができなくなれば、それよりはるかに手間暇のかかる片付けなどをやることは無理というものです。その結果、部屋は散らかりっぱなしになってしまいます。

改善方法は

うつ病を治すことが、何よりの改善方法になります。うつ病の治療は、薬物療法のほかにカウンセリングなども行われますが、しっかりとした休養も大事です。

意志の問題ではないのですから、がんばって掃除をしようとしても逆効果です。それでも、散らかっているのは我慢できないというのなら、ある程度の片付けができた時点で、「今日はここまで」と妥協し、100%の整理整頓を求めないことです。完璧を求めると、それがストレスになって、うつ病が悪化します。

統合失調症が原因

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。そのため日常生活や社会性生活を営むことが難しくなり、当然、片付けるという作業も手がつかなくなります。

統合失調症とは

私たちは、思考や感情や行動を一つの目的に沿って統合し、日常生活を営んでいます。この統合能力が長期にわたり低下し、幻覚や妄想やまとまりのない奇異な行動がみられるのが統合失調症です。

統合失調症では、幻覚、妄想などの陽性症状と、意欲や喜怒哀楽の表出が著しく減少する陰性症状があらわれます。通常、陽性症状→陰性症状という経過をたどります。

ストレスを含む複数の要因が原因とされていますが、卒業、就職、結婚、就職など、人生の転機をきっかけに発症する傾向があります。また、遺伝の影響もあって、近親者が統合失調症を発症しているとリスクもいくらか高くなるとされています。

なぜ「片づけられない」に?

幻覚、妄想といった症状があらわれる陽性症状期には、ないものをあると思い込んだ想念を抱き、ほかの人からは理解されがたい異常な行動に出ることがあります。

片付けるなどというのは眼中にない状態といってもいいでしょう。意欲、エネルギーの欠如といった陰性症状期に、片付けることなどとてもできません。なにしろやる気が湧いてこないのですから、片づけや掃除などにもとりかかれず、部屋がどんどん汚くなっていきます。

改善方法は

取り組むべきは、統合失調症の治療です。統合失調症では、薬物療法とリハビリを中心に治療が行われます。

かつては、不治の病といわれた統合失調ですが、最近では病気を克服して社会復帰を果たすケースが少なくありません。ただ、風邪や腹痛のように薬を飲めばすぐ治るという病気ではありませんから、症状の時期に合わせて、気長に治療することになります。

認知症が原因

超高齢化社会になって、認知症の患者が急増していますが、認知症は老人専用の病気ではありません。で、認知症が原因となって、片付けられない人たちも増えてきています。

認知症とは

認知症とは、一度獲得された精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態をいいます。つまり、後天的原因によって生じる知能の障害です。

認知症の症状は、大きく二つに分けられます。一つは、直前に起きたことも忘れる記憶障害、筋道を立てて計画的にものごとを実行できなくなる判断力と実行機能障害、時と場所がわからなくなる見当識障害などです。一つは、中核症状によってゆがんだ認識と現実との食い違いによって発症する徘徊、せん妄、睡眠障害などの周辺症状です。

認知症は、加齢によって発症する認知症が多いのですが、原因はいくつもあり、発症者は高齢者には限られません。加齢に伴って発症する認知症は、進行を遅らせることはできても、根本的な治癒は望めませんが、一部の病気が原因だったりするケースでは、治療で治すことも可能です。

なぜ「片づけられない」に?

記憶障害や認識のゆがみ、判断力、実行機能の障害、注意力の低下などを伴うのが認知症です。このため、本人の認識と現実との間に食い違いが生じて、正しい行動がとれなくもなります。認知症では、症状が進むと普通の生活を送ることも困難になりますから、片付けなどもできなくなります。

改善方法は

ごく一部の病気が原因である認知症では、治療が可能です。しかし、多くの場合、周辺症状の改善は期待できますが、中核症状は進行を遅らせることはできても治すことはできません。

基本的に回復しない認知症では、片付けを再び一人できるようにするのは至難のわざです。本人の認識がどれだけゆがんでいるかも少し見ただけではわかりません。そのため、誰かの丁寧なサポートが欠かせなくなります。

強迫性障害が原因

度を過ぎた心配性とでもいえるのが強迫性障害です。強迫性障害も片付けられない原因の可能性があります。

強迫性障害とは

手を洗ったばっかりなのに汚れが気になって何度も洗い直す、家の鍵を閉めたのに、なんだか不安になって何度も確認動作を繰り返す・・・。

このような強迫観念とそれを打ち消すための無意味で不合理な行為を繰り返す強迫行為が強迫性障害です。自分自身は、それが不必要な繰り返しだとわかっていても、不安になってきてやめられません。

なぜ「片づけられない」に?

強迫性障害の対象は戸締りだけでなく、ゴミが捨てられないという症状が出る人もいます。ゴミの中に後々必要になるものが紛れ込んでしまっているのではないか、捨ててしまったら、もう二度と手に入らないのではないか、本当に捨ててしまってもよいのかという考えに捉われ、ゴミが捨てられなくなるのです。

強迫性障害では、このような「収集癖」によって片付けができなくなってきます。

改善方法は

強迫性障害の治療が何よりの改善策です。治療では、薬物療法とゆがんだ考え方を修正する認知行動療法が行われます。認知行動療法では、不安になることを行って、それを我慢することなどを通して、なれさせ、不安、ストレスの軽減をめざします。

片づけられないというケースでは、まず自分自身の手でゴミになるものを捨てていくことになれさせます。やがて、不安が薄らぎ、ゴミをより容易に捨てることができるようになります。

その際に注意すべきことは、不安感が強いモノから実行すると、負担も大きいので、不安感の少ない、明らかにどう考えてもゴミあるものから捨てていったりします。

度を越していたら病院へ

部屋が散らばっていたとしても、本人が我慢すれば済むことですが、片付けられないゴミの山ができたりして生活に支障をきたすような状態になれば、問題です。

それは本人の意志や性格の問題というよりも、以上述べてきた精神疾患に原因があると考えられるからです。度を越すほどに片付けられない状態が続くようなら、精神科病院などの専門機関にでかけ、相談されることをお勧めします。

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