子供がスマホを見て夜寝るのが遅いけど、なぜやめたほうがいいのか説明できない人へ


この記事を読むとわかること
  • 現代のスマホと不眠事情
  • スマホが不眠に与える影響がわかる
  • 不眠が小児に与える影響がわかる

目次

現代のスマホ事情

携帯電話の普及は年々上昇、KDDIの調査によると小学1年生では約3割が所持している。小学3年生になると保有率は5割を超え、小学6年生では7割の人が携帯電話を保有しています。
携帯電話を所持していなくても、家庭内のタブレットやパソコンを使っているという子は多いと思います。

現代の小児不眠事情

2014年の保護者対象の調査では、5-7歳児で約20%、8-10歳児の約16%が不眠を有している。決して少なくない児童が不眠を抱えて過ごしている。そこにスマートフォンの普及などブルーライトによる影響も少なからず出ていると考える

睡眠のメカニズムを知る

人はなぜ眠くなるのか。①概日リズムと②睡眠の恒常性 この二つの機能を使って、人は眠くなります。

① 概日リズムとは

人はメラトニンという脳内物質の量で、朝なのか、夜なのかを認識してコントロールしています。メラトニンが増えると夜と認識し、人は眠くなります。逆に減ると、朝と認識し目が覚めます。このメラトニンは光の刺激や深部体温により分泌が抑制されます。昼間に人が眠くならないのは、光刺激が入っていて、体温が高いので、メラトニンが分泌されず眠くならないのです。
「概日リズムが狂うと不眠をもたらすのはなぜ?」
太陽まではいかずとも現代の暮らしは光に溢れています。そしてブルーライトという強い光が身近にありますので、太陽が沈んだ後も、光刺激が入り続けてしまいます。すると、メラトニンが分泌されず眠くならないという仕組みです。よく聞く「眠れなくなるから、夜に熱いお風呂に入らないようにする。」というのも、深部体温が上がってしまうと、メラトニンが分泌されなくなってしまうからダメという仕組みです。

② 睡眠の恒常性

恒常性とは人に備わっている機能で、元の状態に戻そうとする力のことを指します。人は起きている間、アデノシンという脳内物質が貯まり続けます。アデノシンの量が増えると人は眠気を感じると言われており、睡眠を取るとアデノシンが減ります。このアデノシンを元の状態(減らした状態)に戻そうとする恒常性があるため、人は眠気を感じると言われています。

睡眠の恒常性が狂うと不眠もたらすのはなぜ?

「寝る前にカフェインを取ってはいけません。」とよく耳にしますが、カフェインという物質は、脳内のアデノシンが貯まっているのかどうか麻痺させる効果があるためです。起きているのでアデノシン貯まっていますが、貯まっていると脳が気づかないので、眠くならない。だからカフェインを取ると、眠くならないのです。

このように、人は概日リズムと睡眠の恒常性が崩れてしまう。つまり、メラトニンとアデノシンが増えない(感じない)状況になることで、不眠が起きてしまいます。つまり不眠を改善するには、メラトニンとアデノシンが増える行動を取ればいいのです。これが睡眠と不眠のメカニズムです。
これで、不眠になる原因は多種多様であり、スマホなどのブルーライトも、なぜ睡眠に良くないのかわかっていただけたかと思います。

不眠が小児に与える影響は?

昔から「寝る子は育つ」といいますが、人は睡眠中に成長ホルモンが分泌されます。小児は大人と違い、多くの成長ホルモンが必要ですので、不眠で成長ホルモンが減ってしまうと、多くの支障が出ます。
成長ホルモンが不足すると、例えば身長が伸びないというのはイメージしやすいかもしれませんが、他にも太りやすくなったり、考えたり、計画したり、学習したりなど認知や行動にも影響が出るというデータもあります。日中の居眠りだけでなく、認知機能が低下することで、余計に成績が下がることになりかねない。
また成績だけではなく、アメリカの中高生のデータだと、睡眠時間の短い生徒は希死念慮(死にたい気持ち)や自殺企図(自殺を計画する)などの行動も相対して増加するという報告もあります。日本ではアメリカよりも中高生の睡眠不足が深刻ですので、より注意が必要と言えるでしょう。

成長ホルモンは単純に体を大きくするというだけでなく、子どもの成長すべてに影響を与えるともいえるホルモンですので、不足は親としては何としても避けたいものです。

睡眠相後退症候群になると学力低下する?

このブルーライトなどによる睡眠リズムの乱れは思春期以降にも強く影響が出ます。一言で説明すると、中高生になると「寝る」と「起きる」のリズムが後ろ倒しになります。この時期に睡眠リズムの乱れを起こすと、このリズムの後ろ倒しに拍車をかけ、朝起きれずに遅刻、授業中の居眠り、果てに学力の低下につながります。メカニズムの詳細説明は、また別の動画で解説させて頂きますが、この小学生時期の習慣が、思春期の学力低下につながることを考えると、いまは大丈夫では済まない問題かもしれません。

睡眠に必要な時間は年齢と個人によって違う

お子さんの推奨される睡眠時間と、推奨されない睡眠時間は知っておきましょう。この推奨されない睡眠時間に当てはまる場合は、改善の説得に根拠を持たせます。

まとめ

小児の不眠は、放置してよい問題ではありません。ご家庭内で解決できない場合も多く、第3者の力を借りることは良いことです。不眠は一時的なものであると楽観せずに、小児を見れる精神科やメンタルクリニックへの受診を検討してみてください。

解説動画はこちら