障害者手帳アプリ「ミライロID」とは?特徴や使い方、使える場所を紹介


ミライロID 公式サイト

障害者手帳を持っている人は、さまざまな支援や割引サービスを受けることができます。ただ、使い勝手という面から見ると、面倒くさい、もどかしいという思いを抱いている人もいるようです。

そんな不便をなくすために、2019年にリリースされたのが、スマートフォン向け障害者手帳アプリの「ミライロID」です。iPhone、Androidの両方で使えるようになっています。

目次

障害者手帳は使い勝手が悪い?

「障害者手帳」には、「身体障害者手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。障害者手帳を取得すると、さまざまな福祉支援や割引サービスを受けることができます。

障害者手帳は、障害者が街に出て、生活の場を広げるために用意された優遇パスポートといってもいいでしょう。

ところが、どうも使いづらいとこぼす人も少なくありません。

交通機関の割引サービス

障害者手帳のメリットの一つが、電車、バス、タクシーなど交通機関の料金が割引、もしくは無料になることです。

例えば、東京都では、都内に住んでいて障害者手帳を取得した障害者は、「都営交通無料乗車券」を発行すれば、都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーを無料で利用することができます。

しかし、民間の交通機関の場合は、障害者手帳を提示しなければなりません。
障害者にとって、これは結構面倒な手続きです。
それに、「あっ、忘れた」というケースも少なくありません。

障害者手帳を使うのに不便と感じる人は約68%

ミライロが実施した障害者手帳を取得している387名を対象にしたアンケート調査によると、障害者手帳の使用感に関して68%の人が、「取り出す・提示するのが面倒」で、「不便を感じる」としています。

また、「デザインが気に入らない」との回答が約38%でした。

ニーズがうまく伝わらないが61%

障害者手帳を取得している827名を対象とした追加調査では、企業が実施しているサービス利用について、「施設やサービスを利用する際、必要なサポートを伝えるのが面倒だった」、「上手く要求する中身が伝わらないと感じたりした」という人が約61%という結果でした。

障害者手帳の見直しの動き

障害のある人が公共交通機関での割引や各種のサービスを利用する際、その手続きはサービスを提供する各企業へ一任されています。
現状では、割引を利用するたびに、障害者手帳の現物提示を求める企業が多数を占めます。

国土交通省では、2019年1月、鉄道、自動車、航空、船舶の各社に対して、障害者手帳の確認方法を見直す方針を発表しました。
こうした障害者手帳の不便さを解消するために開発されたのがミライロIDです。

ミライロIDとは

ミライロIDは、障害者手帳を所有している方を対象としたスマートフォン向けアプリです。ユーザーは、障害者手帳の情報、福祉機器の仕様、求めるサポートの内容などをミライロIDに登録できます。

公共機関や商業施設において、ユーザーがミライロIDを提示することで、障害者割引や必要なサポートをスムーズに受けられます。

バリアバリューという考え方

ミライロIDを開発したのは、株式会社ミライロです。

同社は、バリアバリューの視点から、障害のある人と企業の間でお互いに情報を共有して、障害のある人がよりスムーズに外出しやすくなる社会環境の実現を目指しています。

ちなみに、同社の企業理念でもある「バリアバリュー」というのは、人の弱点、ハンディキャップ、トラウマやコンプレックスなどは、克服すべきものではあっても、取り除くべきでものではない。逆に今まで「バリア」として捉えていたことも、考え方や周囲の向き合い方次第で「強み」や「価値」に置き換えることができる。バリア(障害)をバリュー(価値)に変え、私たちは社会を変革しようという思想です。

ミライロIDの特徴

ミライロIDは、障害者手帳に記されている情報をスマホに落とし込んで、手帳の代わりに提示します。
スマホ一つで、手軽に表示できるのが特徴でもあり、メリットです。
また、必要なサポートや車いすのサイズなどを登録しておけば、窓口での伝達もスムーズになります。

このほか、障害種別に応じて、生活に役立つ情報やお得な情報が、ユーザーのスマホに届けられます。

広がる協力企業の輪

ミライロIDがリリースされたのは、2019年の7月でした。

スタート時の協力企業は6社でしたが、その後、日本航空、スカイマーク、スターフライヤー、TOHOシネマズなどの有名企業が参画しています。

交通機関は2月20日時点では14社が参画しています。

鉄道 西武鉄道株式会社
近江鉄道株式会社
嵯峨野観光鉄道株式会社
タクシー 西武ハイヤー株式会社
日本交通株式会社
日の丸交通株式会社
航空 日本航空株式会社
全日本空輸株式会社
スカイマーク株式会社
株式会社スターフライヤー
バス 西武バス株式会社
近江鉄道株式会社
湖国バス株式会社
株式会社はとバス

その他の企業に関しましてはミライロIDのHPをご覧ください。
ミライロIDが使える場所 – ミライロID ヘルプセンター

ミライロIDの使い方

STEP1:
ミライロIDのアプリをApp StoreまたはGoogle Playストアからダウンロードし、アカウントを作成します。

App StoreのミライロIDアプリの場合
iOS 11.0以降。iPhone、iPad、iPod touchに対応しています。

STEP2:
障害者手帳を撮影し、情報を登録します。現在どうなっているかわかりませんが、2020年1月のレビューに登録に不備があった場合は退会してから再登録となってしまうと書かれていたので登録内容をしっかりと確認した方が良さそうです。確認には2ヶ月かかったとのことです。

STEP3:
ミライロIDが使える施設や窓口で、画面を提示します。

障害者手帳は全て撮影する必要があるの?

障害者手帳の撮影必須の項目は以下の通りです。基本的には記入があるところは全て撮影することになります。

・顔写真 
・名前 
・手帳番号 
・等級 
・発行元、印影
・交付日
・有効期限(再認定年月) ※障害者手帳に記載がある場合
・旅客運賃減額 ※障害者手帳に記載がある場合

実際に店舗でミライロIDを使ってみると問題がある?

2020年2月のアプリのレビューによると対応店舗に2店舗行って、2店舗とも末端のスタッフまで周知されおらず対応に時間がかかったとのことです。

これからミライロIDは普及するのか

現在も多くの企業が導入していますが、障害者手帳と比べるとアプリ画面の提示のみになると偽造が容易になってしまうため、その点がネックとなっている企業はありそうです。
今後は電子スタンプなどと連動させることがあれば、偽造防止になり、マーケティングや販促などにも役立つため、これまで障害者割引を行なっていた企業だけでなくミライロID限定で障害者割引を新たに導入する企業が出てきてもおかしくありません。