大人になってから、もし発達障害と診断されたら


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近年メディアなどにも発達障がいが取り上げられる機会が多くなりました。それにより発達障害への認知と関心がかつてなく大きく広まりまっています。

子供時代から発達障害の診断を受ける人がいる一方で社会人になって初めて生きづらさ感じ、発達障害の診断を受ける人が近年増加しています。成人の発達障害の概要と当事者が社会で力を発揮するにはどうすれば良いのかを紹介します。

目次

個性が障がいとなる日

一般的に発達障害と呼ばれるものを大きく分類すると

・LD(学習障害)
・ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)

の三種に大別できます。LDに関しては、学童期に問題が顕著に現れる事例が多く成人になって発覚することは稀とされています。いわゆる空気が読めないとされるアスペルガー症候群は広汎性発達障害のうちの一つで、ADHD(注意欠陥・多動性障がい)は落ち着きのなさ、注意力の低さが特徴とされています。広汎性発達障がいとADHDの方は能力に偏りをもちつつも大学卒業までは日常生活に困難さを感じないこともあるのです。

空気の読めなさや、ものごとに対して独特なこだわりを持つこと、おっちょこちょいな面は一人の人間の個性ともいえるので、環境に適応できている限りは障がいではありません。それらの個性をむしろ武器にして社会に順応している人も数多くいます。それぞれの特性が原因で社会の中で生きづらさを感じた時、はじめて「発達障害」となるのです。

それまで学校生活では一個性として周囲に受け入れられていたものが、社会人になった途端に受け入れられず、そこで初めて自身の障がいを自覚する人も多くいるのです。

個性が必ずしも歓迎されない日本のオトナ社会

残念なことに日本の一般的な企業で働く場合、個性を目立たせることは歓迎されないことが多いです。企業で働くには、本人ではなくその企業の色に染まることが求められることが多くあるからです。発達障がいの方は日本のビジネス社会ではあまりにも個性が目立ちすぎるのです。ビジネスの世界では空気を読むことは絶対スキルです。それを苦手とする広汎性発達障害の方はそこで壁にぶつかり大きなストレスに晒されます。

会社では決められたことを決められた手順で行わなければなりません。ADHD傾向の人は上司から与えられた指示に対し、独特な解釈で仕事を行った末トラブルを起こすことがあります。日本社会でそれらの「個性」を持つ人が社会で「障がい」を感じる可能性は非常に高いといえます。

頑張りすぎると二次障害の危険も

成人になって、はじめて生きづらさを感じた時それまでの受験勉強のように努力でそれを克服しようとします。しかし人間の特性は努力では補えきれない部分があります。一向に好転しない状況では自己肯定感が大きく損なわれます。

うつ状態になり心療内科で診断を受けた結果、自身が発達障害と知ることもあります。

あなたは自分の生き方を選択できる

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発達障がいと診断されたら、何をすればいいのでしょうか。まずあなたは自分の特性に対して卑屈にならないことが重要です。生まれ持ったあなたの特性に必ず価値があります。しかしただ闇雲にがむしゃらに努力するだけではあなたの真価は発揮できません。

まずはあなたができることを整理してみましょう。以下にあなたが選べる選択肢をまとめてみました。

(1)障がいをクローズにしたまま就労、または就活を行う

自身の障がいを自覚しつつ、周囲に知らせることなく就労を続けることも選択の一つです。あなたがやりたい仕事続けたり、あらたに選ぶことができます。その一方で会社内での配慮は全く期待できません。また障がいが発覚するのではないかというプレッシャーを抱えることになるかもしれません。

この選択をした場合でも自治体の発達障害支援センターで相談を受けたり、医療機関でカウンセリングを受けるなどの対策が必要です。同じ障がいを持つ人が集う当事者会等にも参加するのも一つの手段です。

(2)障がいをオープンにして就労を続ける

あえて自身の障がいをオープンにして社内で配慮を求めることも一つの手段です。配慮を受けることで、周囲と同等かそれ以上のパフォーマンスの仕事を行える可能性があります。ADHD傾向の人は、口頭で指示を受けるよりも、具体的な図を元にした指示をうけることでより仕事に対して正確な理解を得られる場合があります。

アスペルガー傾向の人はパソコン入力作業などを正確に行う能力が高い場合が多いので対人関係の負担が少ない上記の業務に配置を変えてもらうことができるかもしれません。配慮を受けることで通院などがしやすくなるなどのメリットがあります。

オープンにする際、発達障害に対して理解を得られる職場なのか、よく見定める必要があります。

(3)就労移行支援施設に通所する

発達障害と診断された場合、配慮を求めるばかりでは就労は長続きしません。自身が自分の得手不得手を自覚し、様々な障害によって直面する問題を解決する能力が必要です。ストレスに晒された場合にどのような対処が必要かも身につけなければなりません。周りはその手助けをすることしかできないのです。

上記に力を見つけた上で新たに就労する力を見つけたい人には就労移行支援施設に通所することをお薦めします。様々な精神障害を持つ人の就労支援を目的に全国に開設されています。運営主体は企業や社会福祉法人などの民間団体ですが、利用料に関しては自治体からの助成が得られる為、前年度の所得額によっては無料で利用できる場合があります。

従来は発達障害を持つ人も他の精神障害を持つ人も同一のプログラム内容の訓練を受けることが通例でしたが最近になって、発達障害に特化した施設も目立ち始めています。さらにはプログラミングなど、発達障害傾向の方が得意とされる分野のスキルアップの訓練を集中的に行う施設も現れました。

まとめ

発達障害であるから、こうして生きなければならないという答えはありません。社会人として生きる中で困難を抱えつつも、一般就労をクローズで行う人も数多くいます。一方で自らの特性を活かし、得意な分野で頭角を示す人もいます。どう自分の人生を生きてゆくかは誰が決めるかではなく、本人自身の選択に委ねられているのです。それは障がいの有無は関係ありません。人の役に立つ力は誰にも平等に備わっていることを忘れないでください。


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