ストレスで食欲が止まらない!病気の可能性は?過食をやめたい人はどうしたらいい?


目次

過食症とは何か

過食症の概要

 摂食障害治療支援センター設置運営事業によると、過食の定義は食のコントロールができなくなり、頻繁に過食してしまうこととされています。

精神科領域では

 過食で過度に困っている人の場合は、精神科で診断することが可能となります。精神科の診断名では大分類で摂食障害と呼びます。摂食障害の中に、過食を伴う診断は“神経性過食症”や“過食性障害”、“神経性やせ症過食排出型”があります。

 ここで注意なのが、必ずしも過食症=肥満ではないのです。神経性やせ症、いわゆる拒食症と呼ばれる病気にも過食という行為は存在します。つまり過食とは拒食症と過食症を含んだ摂食障害全体にみられる症状の一つなのです。

過食の基準

どこから過食?

 過食は自分で制御できないほどのむちゃ食いをすることです。口に詰め込むなどの特徴がみられる場合もあります。また過食の後に体重増加を恐れて、自発嘔吐をしたり、下剤を乱用したりして対処しようとするという行動も特徴的です。

過食のセルフチェック

 摂食障害のチェックシートがあります。自分に疑いがあると感じているのであればチェック項目に該当するか確かめてみましょう。23点以上で可能性があります。

  いつもそう わりとそう 時々そう 全くない
嫌な時や、辛い時に沢山食べてしまう 4 3 2 1
毎日の生活が食べ物のことに費やされている 4 3 2 1
食べだしたら止められず、お腹が痛くなるほどむちゃ食いをする 4 3 2 1
食べ物のことで頭がいっぱい 4 3 2 1
自分の食習慣が恥ずかしいと思う 4 3 2 1
食べる量をコントロールできないと心配になる 4 3 2 1
むちゃ食いをするために、はめを外してしまう 4 3 2 1
非常に多くの量をむちゃ食いしたことがある 4 3 2 1
あなたがもっと食べるように、家族が望んでいると思う 4 3 2 1
皆から痩せていると言われる 4 3 2 1
皆が少しでも多く自分に食べさせようとしてくる 4 3 2 1
皆から非常に痩せていると思われている 4 3 2 1

過食の診断基準

神経系過食症の場合

 神経性過食症の診断基準は以下のすべてが該当することとしています。

  • 制限できず沢山食べてしまう
  • 不適切な代償行為(自己誘発嘔吐、下剤乱用、過活動、拒食等)に及ぶ

 そして不適切な代償行為をしていなければ過食性障害を疑う

過食性障害の場合

 過食性障害の診断基準は制限できず沢山食べてしまい、不適切な代償行為には及ばずに以下の項目が3つ以上該当することとしている。

  • 空腹じゃないのに食べる
  • 満腹以上になるまで食べる
  • スピーディーに食べる
  • 恥ずかしくて一人になる
  • 自分に嫌気がさす

神経性やせ症の場合

 神経性やせ症は先述の通り拒食症の診断名で、神経性やせ症にも過食を伴う場合があります。神経性やせ症の診断基準は以下の項目がすべて該当することとしています。

  • 食事量が少なく低体重
  • 体重増加や肥満への過剰な恐怖か、体重増加を妨げる行為の持続
  • 身体像障害や、体重や体型への過度なとらわれや、低体重の問題の否認

過食の原因

過食は甘え?

 過食は欲求(食欲)をコントロールできない人と見えることから、甘えだと思われがちですが、そうではありません。摂食障害に陥る原因は、甘えとは別の他の要因があるとされています。

過食はストレスのせい?

 なんでもかんでもストレスのせいと言ってしまえば便利なものですが、摂食障害の原因はストレスだけとは言い切れません。様々な要因が複雑に関与して発症すると考えられています。

 つまり過食は甘えではなく、病気の症状なのです。そしてその病気になる理由も甘えではなく別の要因があるということになります。

摂食障害の原因は


出典:摂食障害|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省

 厚生労働省からはこのように説明されています。

 全般的因子と個人に特徴的な因子(家族歴、体験、特徴)が複雑に関与して発症するということです。それぞれ発症の要因となる体験や特徴については図をご参照ください。“甘え”や“単純なストレス”で発症するわけではないことがわかりますね。

過食の対象

甘いものだけを選んでしまう?

 過食に対象は関係ありません。“甘いものだけ食べてしまう”や、“お肉ばっかり食べてしまう”など特定のものだけ食べてしまうという行為は、特に摂食障害という点では“甘いものだからダメ”など問題とはなりません。ただし、食事を過剰にとってしまうことでの副次的な問題。例えば肥満や生活習慣病では、甘いものだけ過食する方がなりやすいとも言えます。

過食の治療

何科にいけばいい?

 過食、摂食障害の治療は精神科で行われますので、最寄りの精神科や心療内科への受診が妥当です。しかし神経性やせ症が重度の場合は低栄養状態に陥っている可能性があります。BMIが13以下であることや、体重減少が著しい場合など、生命の危険が迫っている場合は身体科での治療が優先されます。

 摂食障害の中には、本人が問題視していないパターンも存在します。自分の行動に危機を感じない場合は受診行動に移ることができない場合もあります。そういう場合は家族の協力を得ながら医療機関へつなげる必要があり、誰しもが受診に進むわけではないということを知っておく必要があります。場合によっては家族だけで、医療機関に事前の家族相談を持ち掛ける必要もあるかもしれません。

過食と薬物療法

摂食障害では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬に分類する薬を使用する場合があります。主な治療は認知行動療法と言われていますが、それだけでは十分ではない場合は、薬物療法と組み合わせて治療を行うことがあります。

過食とカウンセリングや認知行動療法の関係

 カウンセリングを受けるというのも、治療の一つの手です。またカウンセリングとは似ているようで少し違いますが、認知行動療法を受けるというのも過食の治療に有効であると考えられています。過食は過食行為そのもの以外にも、背景には様々なストレスを抱えている方も多くいらっしゃいますので、単純に薬で治すというのは難しいのは前述した通りです。

 過食等の摂食障害は、薬物療法と、カウンセリングや認知行動療法などの精神療法を併用して解決していきます。過食症のカウンセリングをしているクリニックも多くありますので、検索してみてはいかがでしょうか。

関連:過食症のカウンセリング 浦和すずのきクリニック

過食と下剤の関係

過食と下剤

 神経性過食症の方の中には、下剤を乱用される方もいます。それは排出行動と呼ばれ、過食への対処行動として、食べた分出そうとする。太らないようにするという対処法として、下剤を乱用するという行動に出る方もしばしば見受けられます。

過食と嘔吐

 また下剤とは違い、嘔吐をして排出行動をとろうとする方もいます。自己誘発嘔吐をして、食べたものを出そうとするのです。下剤による下痢にも言えることですが、嘔吐や下痢を繰り返すと、体の電解質バランスが崩れます。特にカリウムは体の筋肉をコントロールするために必要な電解質ですので、過度に失われると、心臓の筋肉にも影響を与え、不整脈や心停止を招く可能性もある危険な状態になります。

過食とお金

金銭的負担

 更には経済面への影響も大きいです。過食により夜間の睡眠が確保できなくなり、生活リズムが崩れる事や、体重増加によりボディイメージが変化して職場に行けなくなったりすることで、経済面への影響も強く出ます。また過食をするための食費による出費も影響は大きいです。神経性過食症は収入と支出のどちらにも影響が出てしまう病気です。