療育手帳って知っていますか?判定方法と取得ガイド


 こんにちは。サイコセラピー研究所のムーです。早速ですが皆さん、「療育手帳」という言葉を聞いたことがありますか?聞いたことはあるけれどもどういったものか知らない、初めて聞いたという方も多いのではないかと思います。そこで今回は「療育手帳」がどういったものであるのか、どうやって取得するのかなどについて解説していきたいと思いますので、少しでも興味がある方は是非一読をお願いします!

目次

療育手帳とは

療育手帳はなんで発行されるの?

 療育手帳とは、知的障害児及び知的障害者(18歳以上)に対して発行される手帳のことです。子どもの頃に知的障害があることがわかり療育手帳を取得する人が多いのですが、大人になってから取得することもできます。また、発達障害のある人で、知的障害もある人は療育手帳を取得することができます!発達障害のある方で療育手帳を取得できなかった場合は精神障害保健福祉手帳を取得できる場合もありますので是非相談してみてください。

 少し話がずれてしまいましたが、この手帳を発行している目的は、知的障害を持ち暮らしている方(知的障害児の親も含め)に対して、一貫した指導や・相談等が行われるようにすることや援助措置を受けやすくすることです。そのため各機関において療育に関する指導や相談を行った際は、内容を手帳に記録していきます。その手帳を各機関で提出することで、どのような内容を話したのか共有することができるため、質の高い指導や一貫したアドバイスを行うことが出来るようになっています。

身体障害者手帳や精神障害保健福祉手帳との違い

 障害を持ち生活される方に対して発行される手帳は、療育手帳だけでなく「身体障害者手帳」や「精神障害保健福祉手帳」があります。この2つの手帳は法律で定められた制度になりますが、療育手帳は「療育手帳制度について」というガイドラインに基づいた制度で都道府県や政令指定都市ごとに要網などを制定して手帳の発行が行われています。そのため手帳の呼び名が「愛の手帳」や「みどりの手帳」「愛護手帳」などのように自治体ごとに異なる場合があり、受けられるサービスも少しずつ異なっていることが特徴の1つとなっています。

療育手帳を取得するメリット

手帳を取得することで様々な援助措置を受けることができます!ここで一例をいくつか紹介したいと思います。

特別児童扶養手当
心身障害者扶養共済
⑶ 国税、地方税等の控除または減免税
⑷ 公営住宅優先入居
NHK受信料の免除
旅客鉄道等の運賃の割引
⑺ 各種施設のサービスや割引

 各自治体により受けることのできるサービスは異なります。そのため上記のメリットを必ず受けることができるわけではありませんのでご注意ください。詳しくは問い合わせや、各自治体のホームページを検索していただくのがおススメです。また、実際に療育手帳を活用してみた感想などをブログやホームページなどに載せている方もいらっしゃいますので「療育手帳 メリット」で検索していただくのもいいかもしれないです。

療育手帳の取得方法

取得までの流れ

 やっとここで本題の、どうやって療育手帳を取得するのかについて解説していきたいと思います。

 療育手帳取得までの流れは簡単に表すと下記のようになります。

 申請し、取得できるのか判定がなされ、取得可能と判断されれば手帳が発行されるという、非常にシンプルな流れになっています。ここからはそれぞれを少しだけ詳しく解説していきます!

どうやって申請するの?

 手帳の交付申請は、知的障害がある方本人またはその保護者が居住地域の福祉事務所長を通して申請を行います。
申請に必要なものは、

① 療育手帳交付申請書(A4用紙1枚程度)
② 写真:療育手帳交付申請書に添付する
③ 印鑑

 申請前に担当の福祉事務所に連絡を取り、申請に必要なもの一覧を聴取していただくのが漏れなく確実かと思われますが、基本的には上記3つはどの自治体でも必要なものかと思われますので是非準備いただければと思います!療育手帳交付申請書は、自治体の福祉事務所などでもらうことができます。またインターネットでのダウンロードが可能な場合もありますので、福祉事務所まで取りに行く時間がない方は問い合わせてみてくださいね~。

手帳発行の判定と区分

 発行された療育手帳の区分は大まかにAとBの2つに分けられています。さらに細かく見ると、A最重度・A重度・A中度・B中度・B軽度の5つの区分に分けられます。この区分によって受けられる支援の幅が異なります!
それでは、ここから手帳発行の可否と区分を判断する判定(評価)について説明していきたいと思います。

① 知的能力の評価(IQの測定)

 標準化された個別式知能検査もしくは個別式発達検査を用いて知能指数(発達指数)を算出します。算出された指数をもとに知的能力を最重度(IQ20以下)・重度(IQ21~35)・中度(IQ36~50)・軽度(IQ51~75)の4つの区分に分類します。
もし知能・発達的に幼く個別式検査を実施できなかった場合は、聞き取り評価や本人の行動観察などを行い推定知能指数を算出し、適切な区分に分類します。

② 社会生活能力の評価

 社会生活能力は、下記5項目に関して聞き取りや直接の関りを通して総合的に評価を行い、①と同じ4つの区分に分類します。

・身辺処理(食事や排せつ、入浴、身だしなみ)
・移動(歩行、走行、交通移動)
・意思交換(了解、表現、対人関係)
・生活文化(文字、時間や時事、金銭、健康管理)
・学習、職業(体力・持続力・身のこなし、学習・就労)

③ 介護度の評価

日常生活を送るうえで、手帳を取得しようとする人が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護や支援の難しさ・必要な人材・労力・時間をもとに4つの区分に分類します。

・1級:常時すべての面で介護が必要
・2級:常時多くの面で介護が必要
・3級:時によって、あるいは一部で介護が必要
・4級:点検、注意または配慮が必要

 基本的にはこれら3つの観点で手帳取得の可否等を判定しますが、1部例外はあります!

 例えば、自閉症スペクトラム障害の診断をされており、IQ(知能指数)が高い場合でも、福祉総合支援センター長などが必要と認めた場合には手帳が発行されることがあります。

 また、判定を受けた年齢や発行された区分によって次回手帳更新(判定)までの期間が異なりますのでご注意ください!

まとめ

今回は療育手帳について簡単にではありますが解説させていただきました。自身から公言しない限り、周囲の人に手帳を取得していることが知られることはありません。また手帳を使用することで様々なサービスが受けられることに加え、子育てに悩んだ際に気軽に相談ができるツールの1つになり、メリットはあってもデメリットはあまりない制度になります。難しく考えず、まずは気軽に福祉事務所等に相談してみることをおススメします!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献(すべて2021年4月14日までのものを参考にしています)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html
https://www.soumu.go.jp/main_content/000088917.pdf
http://www.media116.jp/other/1863
https://www.pref.ehime.jp/h20700/fukushi/syougai/documents/hanteijissiyouryou.pdf