高利益ビジネスモデルと謳うペットと暮らす障がい者グループホーム「わおん」とは


保護犬・保護猫と暮らす「わおん」というグループホームをご存知でしょうか?グループホームについて検索したことがある方は1ページ目に「わおん」の広告がよく出て来るので見たことがある人も多いと思います。

平成27年度の障がい者グループホームの赤字施設の割合は24.4%(平成27年度 障害福祉サービスの経営状況について|独立行政法雨人医療福祉機構)となっており、グループホームは赤字になりやすいという話もよく耳にしますが、「わおん」は「高利益」だそう。

利用者側の立場としては「わおん」はどうなのか見ていきましょう。

目次

グループホームとは

まずグループホームには「認知症の高齢者」と「障害者」を対象にしたものに別れています。認知症の高齢者向けのサービスを「認知症対応型共同生活介護」、障害者向けのサービスを「共同生活援助」といいます。
わおんは障害者を対象にしたグループホームです。

障害者グループホームでは「主に夜間、共同生活を営む住居において、生活等に関する相談、食事、排せつ又は入浴の介護、その他の日常生活上の援助」が行われています。精神障害者に対する支援には服薬支援や金銭管理などもあります。

少人数での共同生活

グループホームにもいろいろなタイプがありますが、民家型のグループホームの場合、居室を確保された一戸建ての住居に4、5人が一緒に暮らしています。
最近では、グループホームの本体(食事や介護を受ける住まい)の近くのアパートなどにひとり暮らしの居室をもち、食事や洗濯、入浴・排便などのサービスの時間に本体に出かけるという「サテライト型グループホーム」も増えてきています。

グループホームの世話人と生活支援員

グループホームには、世話人と生活支援員と呼ばれる人がいます。世話人は、調理・洗濯・掃除などの家事や日常生活をサポートしてくれます。
生活支援員は、障害の程度が高い人に対して、入浴、排便などの介護や金銭出納の手伝い、そのほか日常生活におけるさまざまなアドバイスをしてくれます。

様々なタイプのグループホーム

日中から夜間まで職員体制があるグループホームや朝食提供・起床支援・寝る前の服薬管理等もおこなえる準24時間体制のグループホームがあるかと思えば、普通のマンションと同じ作りで一人暮らしに近い環境のグループホームなど様々なタイプがあります。
また、障害別に区分されたところもあれば、知的障害者と身体障害者が一緒に暮らす混合型のグループホームもあります。

グループホームの利用者

グループホームは、障害者総合支援法に基づいて障害者に対して行われる支援サービスですが、大きく二つのタイプに分けることができます。
一つは、障害支援区分が非該当または区分1といった障害の軽い人が入居するグループホームで、一般の人たちと同じような生活を送り、主に夜間に世話人がきて、食事作りや洗濯などを行うタイプ。
一つは、障害支援区分が2以上の日常生活の介護が必要な人が入居し、世話人や生活支援員等が毎日訪問し、食事や入浴など日常生活の介助を行うタイプです。

グループホームで暮らす人たち

病院を退院し、施設を退所して地域に住みたい。でも単身生活には不安がある。
一定の介護が必要だが、施設ではなく、地域で暮らしたい。グループホームで暮らすのは、このような障害者です。

グループホームの入居資格

グループホームの入居者の多くは、知的障害、精神障害、身体障害といった障害のある人たちですが、精神障害の場合、幻覚などの症状は消えてかなりの年数が経過しており、通院や服薬管理により通常の生活を送るには特段の支障がない人たちです。

入居者の障害種別が皆同じ(たとえば、知的障害者に限る)というケースもあれば、知的障害者と精神障害者が一緒に暮らすホームもあります。
身体障害者の場合、65 歳未満の人、または65 歳に達する日の前日までに障害福祉サービス、もしくはこれに準ずるものを利用したことがある人に限られています。
このほか、安心して暮らせるようにいくつかのルールや禁止事項を守れる人という条件があります。

障害者グループホーム「わおん」とは

引用:日本初!(※)ペット共生型障がい者グループホーム「わおん」 2月3月、札幌市や相模原市など、新たに15拠点オープン!

障害者グループホーム「わおん」は、株式会社アニスピホールディングスがレベニューシェア方式で全国に展開する、ペット共生型障がい者グループホームです。

現在、「わおん」は全国各地にあり、グループホーム数は開設予定も含めると300拠点(2019年10月時点)になります。その中で直営事業所は14拠点、他の事業所はレベニューシェア方式のコンテンツ利用契約で別の会社が運営しています。

レベニューシェアはフランチャイズとは違う

別の会社が運営していると聞くと、コンビニフランチャイズを思い浮かべますが、レベニューシェア方式はフランチャイズのような均一化されたサービスではありません。以下の表はレベニューシェアを一般的なフランチャイズとライセンスを比較したものです。

レベニューシェアフランチャイズライセンス
サポート・指導必要なサポートを選択充実ほとんどなし
初期投資コースを選択高い安い
自由度自由度が高い厳しい決まりありほぼ自由

レベニューシェアはフランチャイズとライセンスの中間的な存在で、経営の「独立性」「独自性」が確保されています。障がい者グループホームは障害者総合支援法に基づいて運営されるので、人員・設備・運営には基準があるため大枠では同じですが、わおんのブランド名を使っていても、ペット共生型ということ以外においては同じサービス内容ではない可能性があります。

費用は一般的

他のグループホームと費用を比較してみました。ペットがいることによる費用が上乗せされている感じはありません。

わおん草加(中根)コスモス(新たんぽぽ)
家賃35,000円32,375円(コスモス・りんどう)
42,000円(新たんぽぽ)
43,000円(第4ユニット)
食費朝300円/夜400円(1食)月額 23,000円
水道光熱費10,000円11,000円
日用品費等3,000円3,000円

参考:サービス内容について | グループホーム コスモスサービス内容 | グループホームわおん草加

わおんに住むことで殺処分される犬・猫を減らせる

わおんのレベニューシェアモデルでは「保護犬・猫を最低でも1頭引き取る」のが義務となっています。
現在、日本では年間約38,000 頭(平成30年度)もの、犬と猫が殺処分されています。
そこで、保護犬・猫をグループホームで保護し、一匹でも殺処分から救うことを掲げています。

環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理]

犬や猫と暮らしてQOL向上

動物と一緒にいると心が癒され、辛いことも忘れてしまうという体験を持っている人は少なくありません。
しかし、アニマルセラピーには、もっと積極的な意味が含まれています。セラピーとは、本来、「治療・療法」と言う意味なのです。

アニマルセラピーには長い歴史がありますが、現在では様々な領域での治療効果が認められています。ストレス軽減や癒やし、精神安定効果のほか、コミュニケーション能力や自発性の向上などもみられる場合があります。
参考までに、アニマルセラピーの3つの狙いを表にまとめておきます。

動物介在療法医療の現場で行われている動物を介在させた補助療法。精神的・身体的・社会的機能の向上など治療目的を設定したうえで実施される。
動物介在活動動物との触れ合いによって、情緒的な安定・レクリエーション・QOL(生活の質)の向上などを目指す活動。
動物介在教育教育計画や学習計画に基づき、教員や専門家が動物を介して行う教育。正しい動物との触れ合い方や命の大切さを学んでもらうのが目的。

共同生活だからできること

精神障害者にとってペットは癒しや心の支えとなりますが、体調が悪かったり、入院となるとペットの世話が難しくなります。そんな時に、わおんには動物好きの人たちやスタッフがいるので安心です。また、生活保護を受けている場合もペットとの暮らしを無理なくできそうです。